[マレーシア] 来年は中国(本土)バイヤーからの関心高まる

マレーシア政府が完成済み物件の売れ残り対策として2020年一時的に外国人による不動産の最低購入価格を引き下げることを受けて、中国本土からのバイヤーの関心が高まりそうとの調査結果が出ています。

[マレーシア] 来年は中国(本土)バイヤーからの関心高まる



中国人バイヤー向けの国際的な不動産ポータルJuwai.comは、マレーシアにおける外国人バイヤーの最低物件購入価格の引き下げを受けて、来年は中国人バイヤーの関心が高まると予想しています。

2020年予算で、政府は、都市部における高層物件の外国人向けの最低購入価格を一時的に100万リンギット(約2,640万円)から60万リンギット(約1,580万円)に引き下げることで、売れ残り物件の一部を販売する旨の提案をしました。この外国人向け最低購入価格の引き下げは、2020年1月1日から12月31日までで、これを過ぎると最低購入価格は100万リンギットに戻ります。

■マレーシアのオーバーハング状況

クアラルンプール、ペナン、セランゴール、ジョホールは、あわせて9,315ユニットの高層物件、総額6兆7,750億リンギット(約179兆円)に上る「オーバーハング」(建築物使用許可(CCC:Certificate of Completion and Compliance)が下りている完成済み売れ残り物件)をかかえています。

マレーシア評価・不動産サービス局(Valuation and Propety Services Department of Malaysia (JPPH Malaysia))のデータによると、クアラルンプールが完成済みコンドミニアム・アパートメントの売れ残りが最も多いということです。2019年第1四半期時点で、クアラルンプールの高層物件のオーバーハングは2,544ユニット、総額2兆3,380億リンギット(約62兆円)でした。続いて、ペナンの2,684ユニット、21.3億リンギット(約562億円)、セランゴールの2,113ユニット、11.44億リンギット(約302億円)、ジョホールの1,974ユニット、11.63リンギット(約307億円)となっています。


■外国人の最低購入価格

マレーシアで物件を購入しようとする外国人は、各州が設定した最低購入価格以上の物件であれば購入することができます。州により、その最低金額は異なりますが、一般的に100万リンギット(約2,640万円)から200万リンギット(約5,280万円)の間になります。州によっては、外国人が購入することのできる物件に制約をかけている場合もあります。たとえば、外国人が所有する家は、ゲーテッド・コミュニティ(ゲート(門)を設け周囲を塀で囲むなどして、住民以外の敷地内への出入りを制限した敷地)になければいけないなどとしている場合もあります。

▶外国人に対する不動産の最低購入価格に関するPropertyAccess.coの過去の記事はこちら


今回の最低購入価格の引き下げにより、このオーバーハング状態の緩和に実際につながるかが今後の見どころとなります。


■マレーシア人不動産エージェントの反応

Juwai IQIのエグゼクティブ・ボードメンバー、カシフ・アンサリ氏は、外国人バイヤー向けの最低購入価格を一時的に引き下げるという政府の動きを不動産業界はポジティブにとらえていると話しています。

同社は、386人のマレーシア人不動産エージェントを対象に行った調査の結論として、2020年、最低購入価格の引き下げにより、バイヤーからの関心が高まることを予想しています。以下、調査結果です。

全国では、調査対象となったエージェントのうち71%が、最低購入価格の引き下げについて「やや良い」または「とても良い」と答えています。調査対象となったエージェントの35.1%が、最低購入価格の引き下げを「とても良い」と答えています。

カシフ氏は、「つまり、皆が、市場には売れ残り物件があふれているという点で意見が一致しているということです。短期的に最低購入価格を引き下げることで、政府はこのような売れ残り物件に買い手がつくのではないかと考えています。そうすればデベロッパーは資金を得て、マレーシア人バイヤーにより適したプロジェクトへの投資や建設に資金を使うことができるのです。」と説明しています。

クアンタン、ペナン、マラッカ、およびサラワックでもっとも最低購入価格の引き下げについて市場がポジティブだったとのことです。

クアンタンでは、最多となる75%の調査対象エージェントが、政府の提案について「とても良い」と回答しました。

分析に十分な回答が得られたとする州はいずれも、少なくとも62.5%の回答者が、最低購入価格引き下げについて「やや良い」または「とても良い」と答えたとしています。

反対に、「やや悪い」「とても悪い」というネガティブな回答が最も多かったはマラッカ(15.8%)、クアラルンプール/セランゴール(7%)、サバ(8.1%)でした。全国では、8.6%の回答者が「やや悪い」「とても悪い」と回答しました。



■マレーシアは中国人に魅力的な市場

カシフ氏によると、2019年第3四半期に中国人バイヤーのマレーシア不動産についての問い合わせ件数は、前年同期と比較すると16.5%増加したということです。

2019年前半期は、中国人による不動産購入問い合わせ件数において、マレーシアは世界5位でした。

「ライフスタイル、リタイアメント、教育のための場所として、マレーシアはバイヤーに特に人気があります。生活費はリーズナブルでありながら、高質な生活、医療機関、教育機関へのアクセスが可能です。マレーシアは常に、住みたい国のランキングに入っているのです。」

カシフ氏は、貿易戦争を受けて、マレーシアの生産性の高い労働力と戦略的なロケーションを求めて、オペレーションをマレーシアに移転させる国際企業も多いと言います。

このような工場や流通センターへの新規投資により、外国人のマレーシアへの流入が進むにつれ、住宅への投資も進むとみられます。

「マレーシアは一帯一路構想の重要な役割を担っています。というのも、中国貿易の80%がマラッカ海峡を通過していくからです。香港が現在厳しいので、香港からの需要も急激に増えています。ただ、香港の人口自体がそれほど多くないので、香港人バイヤーの全体的な数は、想像するほど多くありません。」とカシフ氏は話しています。


売れ残りというと聞こえが悪いですが、完成済みの物件なので、実際の物件を自分の目で確認したうえで購入できるというメリットがあります。また、最低購入価格の引き下げは、購入できる物件の幅が広がるという意味では日本人にとっても魅力的です。2020年1年間限定のこの政策。この機会にマレーシアに目を向けてみるのもよいかもしれません。

(出所:New Straits Times