2021/05/31
[マレーシア] 6月1日から2週間の完全ロックダウン
マレーシアは、新型コロナウィルスの感染者数が過去最多を更新したことを受け、明日2021年6月1日から14日までの2週間、全土で完全ロックダウンを行います。
2021年5月28日、マレーシアのムヒディン・ヤシン首相は、国がコロナウイルスの感染者数8,290人を記録し、4日連続で過去最多となったことを受けて、国内全土でロックダウンを実施することを発表しました。同日をもって、国内の累計感染者数は54,9514人となりました。
首相の発表によると、必要不可欠な業種およびサービスのみが営業を認められることになります。今月、国内で緩やかな制限をかけた活動制限令(MCO)を行ってきたにもかかわらず、コロナウイルスの感染者数が過去最多を更新し続けました。
「今回の決定は、マレーシアにおけるCovid‐19が、日当たり8,000人以上、現在治療中70,000人以上という状況であることを勘案した上でなされました。」
「本日までに、2,552人がパンデミックで亡くなっており、死者の数は増加しています。感染力の高い脅威的な変異種の存在も今回の決定に影響しています。」
直前の日曜日には、完全ロックダウンを行うことは、すでに弱っている経済に追い打ちをかけ、ダメージを与えるとコメントしていた首相でしたが、「全国のCovid-19患者を受け入れる病院のキャパシティがかなり限定的になってきている」とも述べました。
ムヒディン首相はまた、コロナウイルスの感染者数を減少させることができたら、完全ロックダウンから脱するという出口戦略も示しています。
その後は4週間の第2フェーズで、より多くの業種の営業再開を認めるということです。それらの活動が大勢での集まりを伴わないことが条件となります。
さらに状況が改善すれば、第3フェーズでさらなる規制緩和となります。これは、現在行われている活動制限規則と同様に、標準作業手順(SOP)にのっとって、ほとんどの経済活動の再開が認められますが、社会的な活動は制限されます。
ムヒディン首相は、次のフェーズへの移行は、保健省のリスクアセスメントを経たうえで行われると述べています。リスクアセスメントは、日当たりの感染者数や全国の病床稼働率などをもとに判断されるということです。
公立・私立病院ともに、Covid-19の患者であふれており、一部の病院では、冷凍コンテナをその場しのぎの遺体安置所、駐車場を症状が軽い患者用の一時的な隔離センターにせざるを得なくなっているところもあるようです。
病院は着実にコロナウイルス患者用の集中治療室の数を増やして現在1,000近くにまで来ていますが、これらのユニットの90%超がすでに使用されているというということです。オンラインニュースStraits Timesによると、関係者の話として、医療関係者が、生存可能性によってICUに入れる患者を決定しなくてはないような場面も出てきていると報じています。
今回政府が方針を変えてロックダウンを決定するに至った背景には、過去の首相マハティール・モハマドやナジブ・ラザク、そしてジョホール州のサルタン・イブラヒム・イスカンダルの圧力もあったようです。
ロックダウンの影響のために、財務省は、国民および影響を受ける業種のための支援策を展開する予定だということです。
マレーシア経済は、2020年、1998年アジア金融危機以来最悪となる不況-5.6%を経験し、今年はコロナウイルス前レベルの7.5%にまで回復する見込みでした。
昨年のマイナスは、2020年3月~5月まで実施された最初のMCOによるところが大きいと言われています。最初のMCOでは、必要不可欠な活動を除いては、自宅待機が義務付けられました。「MCO 2.0」と呼ばれたより緩やかな制限をかけた活動制限令が2021年1月に発表され、日当たりの感染者数は3桁まで下がってきました。
最も豊かな州であるスランゴール州で5月6日から実施されているMCOは、MCO2.0をほぼコピーしたものですが、5月25日からはより厳しい在宅勤務のルールや、店舗の営業時間短縮などが実施されていました。
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しかし、2021年3月からより感染力の高い変異種が発見され、MCO3.0は、以前のような効果が得られずにいます。ラマダン明けの祝日ハリラヤ・プアサのお祝いでもまた感染が広がり、24のクラスターが発生、850件の感染例が見つかっています。
▼マレーシア・州ごとの感染者数(2021年5月31日時点、出所:Department of Statistics Malaysia)
(出所:Straits Times)
(画像:Photo by Adli Wahid on Unsplash )
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