マレーシアの不動産投資で失敗しないために押さえておくべきポイントまとめを解説。

2020/11/14

マレーシアの不動産投資で失敗しないために知っておくべきポイント(購入前)

マレーシア不動産は、先の記事でも述べた通り需要と供給のミスマッチによる在庫調整フェーズにあります。周辺の相場や為替など、取り巻く状況を把握したうえで、出口戦略をもって臨みましょう。


周囲の相場を理解する


購入しようとする物件のあるエリア、物件タイプ、状態に応じた価格を事前に調査して、相場観を持っておくことが重要です。マレーシアの不動産売買・賃貸のポータルサイトのアクセス数トップ5(2019年)をご紹介します。こういったサイトを活用して、できるだけ情報を集めておきましょう。

①iProperty   https://www.iproperty.com.my/

②PropertyGuru https://www.propertyguru.com.my/

③Propsocial   https://www.propsocial.my/

④EdgeProp   https://www.edgeprop.my/

⑤ibilik     https://ibilik.my/


出口戦略を決めずに購入してしまう


不動産を買う前に、出口戦略を決めておく必要があります。出口戦略とは元々は、損や被害を最小限に抑えて撤退するときの戦略のことです。買ってどうするか、主に2つあります。

①買って貸す

不動産を購入して、賃料を得るパターンです。利回りを計算するためには、購入しようとしている物件のタイプ、入居するテナント層、物件の立地を知る必要があります。需要の高いエリアの物件を買うことが肝になります。

表面利回りはざっくりとした投資の利回りを知るのに役立ちます。

年間賃料収入=月々の賃料×12

物件価値=購入価格/市場価格

表面利回り=年間賃料収入÷不動産価値×100

これをより詳細にしたものが、純利回りです。物件にかかる年間の費用(メンテナンス費用や税金など)を知っておく必要があります。費用を細かく織り込めば織り込むほど、正確な値が出ます。

純利回り=(年間賃料収入ー年間物件費用)÷物件価値×100

つまるところ、回収できる賃料が、設置やメンテナンスにかかる費用を上回っていれば、物件はプラスのキャッシュフローを生み出してくれることになります


②買って売る

こちらは、転売を計るものです。転売の需要が高まるのは、以下のような時です。

  • しっかりとした公共施設の基盤がある確立されたタウンシップで、建設中よりも立地の面で人気が高まっている
  • 稼働率が高く消費者の自信感が高まるエリアである
  • 立地がよい
  • すぐに所有・入居できる状態にある
  • 賃料リターンのポテンシャルがある
  • 物件の管理状態がいい

こういった要因を頭に入れつつ、もうひとつ重要なポイントがあります。それは、売却できるまで期間、その物件を持ち続けられるか、物件を維持し、買い手を見つけるための時間を費やせるかということです。

物件の選定、資金調達、改築/賃貸/維持/売却のための人選をすることで、戦略を練っておきましょう。ここを失敗すると、不動産投資で当てにしていた所得がうまく入ってこないことになります。結局のところは、綿密な戦略を練り、その戦略を実行するために、しっかりとしたプロの手を借りることが重要です。


商況を理解せずに購入してしまう


物件の価格はもちろんですが、気を付けておきたいのが為替です。こちらのグラフは過去10年のマレーシアリンギット/日本円の為替レートです。一番安いときで1リンギット=約24円、高いときで1リンギット=約35円です。本記事執筆時点は、25.2円前後で推移しています、最安値に近いレートとなっています。

たとえば、100万リンギットの物件を購入しようと思ったとき、為替だけで1,100万円の違いが出てくるので、為替のトレンドを頭に入れておくことは重要です。

1リンギット=24円のとき     2,400万円

1リンギット=35円のとき     3,500万円

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                ▲1,100万円


▼リンギット/日本円為替レート(出所:XE)


信頼できるデベロッパーを見つけられずに購入してしまう


物件の選定をするときには、信頼できるデベロッパーかどうかが非常に重要です。完成前(プレビルド)物件の場合は特に、物件が完成しない、工事の仕上がりがひどい、などといった問題を避けるためにも、大手で定評のあるデベロッパーを選ぶことが重要になってきます。デベロッパーを見分けるチェックポイントには次のようなものがあります。

①経験

デベロッパーの過去のプロジェクト実績を見てみましょう。ちゃんと完成しているでしょうか。売れ行きはどうでしょうか?また業界での実績年数はどのくらいでしょうか。安定的に実績を積んできたかどうかの指標になります。

②サイズ

購入しようとしている都市での一般的なユニットサイズを見てみましょう。ちゃんとした広さがありますか?デベロッパーが戸数を増やすために各ユニットを小さくしすぎていませんか?クアラルンプールは、人口密度の高さから、マラッカやペナンと比べるとユニットサイズは小さめです。

③過去のプロジェクト

そのデベロッパーの過去のプロジェクトの評判を調べてみましょう。完成物件の仕上げ、使われている資材、品質はどうでしょうか。インフラ、配管、電気系統などに問題がないかも探ってみましょう。

④レジデンシャル

デベロッパーが商業物件をメインにやっているか、レジデンシャルをメインにやっているか調べてみましょう。商業物件に強いデベロッパーがレジデンシャルにも強いとは限りません。

⑤完成実績

デベロッパーは過去のプロジェクトをちゃんと完成させていますか?予定竣工から遅れている場合は、説明のつく理由があるでしょうか。放置された物件のブラックリストがこちらに公開されていますので、チェックしてみましょう。

⑥銀行の認知度

銀行でローンを組もうとする場合には、銀行も知っているデベロッパーかどうか確認してみるのも手です。

⑦アップデート

デベロッパーのウェブサイトやSNSアカウントは定期的に更新され、工事の進捗状況などが分かるようになっていますか?日本から物件を購入する場合は特に、自分ではなかなか見に行けませんので、購入者の立場に立った情報提供ができるかどうかは信頼感の面で大きな違いを生みます。

⑧表彰など

表彰歴もデベロッパーの信頼度を計るいい手段です。しかし、表彰歴がなかったからといって信頼できないというわけではありません。表彰されているということは、特筆すべき功績があった、期待値を越えた何かがあったという視点でとらえましょう。


業者のサポートが受けられない状態で購入してしまう


建設工事は人の手で行われるもので何かしら不具合はあるものです。新築物件の場合、引渡し時に点検をして、資材の欠陥や工事不良などのデベロッパーに要請する瑕疵担保期間が定められています。今後の会社の評判にも関わりますので、大手のデベロッパーであれば、しっかりと対応してくれることが多いです。

エージェントを選ぶときもいくつかの注意点があります。不動産仲介(Real Estate Agent(REA))や不動産交渉人(Real Estate Negotiator(REN))の行動規範を定める管理機関BOVAEAP(Board of Valuers, Appraisers and Estate Agents & Property Managers Malaysia)に登録されているか、依頼人の立場に立った提案ができるか、必要な情報をちゃんと届けてくれるか、レスポンスが早いか、などです。

※デベロッパーから直接購入するときはエージェントは必要ありません。日系の会社が「コンサルタント」として間に入ることがあります。


エリアを十分に理解できていない状態で購入してしまう


マレーシアはもちろん、東南アジアの街は刻々と変わっていきます。エリアの開発計画を十分に理解しておくことも必要です。

大規模な開発計画が出ると盛り上がって飛びつきたくなりますが、一向に計画が進まない、建物が建たない、建ってみたけれども人が入らない、など当初の絵とは異なってくる場合があります。

また、近隣で新しい開発工事などがあると、工事の騒音やダストを気にして、賃貸が付きにくくなることがあります。   

        

購入にかかる費用を正しく理解せずに購入してしまう


不動産購入にかかる費用は、物件の価格だけではありません。売買契約締結時の印紙税、弁護士費用、不動産エージェント費用、送金時の手数料や登記費用などの諸費用、さらに賃貸する場合、売却する場合、それぞれの税金や費用について全体像を把握しておくことで、思わぬ出費の発生を防ぎましょう。


この章のポイント

・購入しようとしている物件の妥当性を、周辺の相場、為替のトレンド、エリア情報、購入にかかる費用などを元に確認しましょう。

・出口戦略を定め、不動産購入の目的を明らかにしておきましょう。

・いいデベロッパー、いいエージェントを選び、味方につけましょう。


マレーシアの不動産投資で失敗しないために知っておくべきポイント(購入後)


購入した不動産は、放っておいても勝手にお金を生んでくれたり、価値が向上したりするものではありません。しっかりと管理をし、賃貸・売却のためのシナリオを考えた上で、物件を選定しておくことが重要です。


購入後の物件の管理を任せきりにしてしまう


東南アジアは日本と比べて湿度も高く、定期的にメンテナンスをしておかないと、水回りやエアコンを中心に劣化の進みが早くなります。ずさんな管理では物件の価値や将来のキャッシュフローを損ねることになりかねません。定期的なチェックや物件状況のレポートをしてくれるかどうか確認してみるとよいでしょう。


物件を貸しだしても、入居者がいない


貸し出そうとしても入居者がいない、という声もよく聞かれます。日本人が購入するような価格帯の物件は、現地人ではなく外国人の駐在員やロングステイ者をターゲットにしていくことになります。物件選びの段階での立地とターゲットとする入居者層のリサーチが大変重要です。さらに、将来の入居者が実際に住んでみたいと思わせるような、内装や家具にも気を配る必要があります。


物件を売りに出しても売ることができない


買い手が現れないことには物件は売れません。こちらも結局のところ、立地が物を言います。土地勘のないままに物件を購入してしまうと、賃貸に出しても借り手がない、売ろうと思っても買い手がいない、という結果になりがちです。しっかりと下調べをして、土地勘を身に着けておきましょう。


この章のポイント

・物件の定期的なメンテナンスで物件の価値を維持しましょう。

・賃貸するにしても、売却するにしても、物件の立地とテナント/買い手のターゲットを明確にしておくことが必要です。


その他日本人が気を付けるべきポイント


基本的には外国人の不動産所有に開放的なマレーシアですが、購入時、売却時の主な規制について頭に入れておきましょう。


規制など


◎購入時

①外国人最低購入価格

外国人が購入できる不動産の最低価格です。州によって異なります。たとえば、連邦直轄領クアラルンプールでは100万リンギット(約2,600万円)となっています。2020年は、完成済みでありながら売れ残っている物件のオーバーハング状態改善のため、100万リンギット→60万リンギット(約1,560万円)と購入価格が引き下げられていますので、購入できる物件の選択肢が広がっています。

②州政府の合意

購入しようとしている物件が位置する州の政府から合意を得る必要があります。こちらは弁護士を通して申請し、通常は2~3か月要します。


◎売却時

不動産譲渡益税が課税されます。購入から売却までの年数に応じて、税率が変わってきます。年数が短いと譲渡益に対して最大30%の課税がされます。


エリア情報・物件情報


エリア情報

■KL中心部(KLCC、ブキッ・ビンタン)

KL市内中心部に位置する開発地区・クアラルンプール・シティ・センター(Kuala Lumpur City Centre)の頭文字を取ってKLCCと呼ばれる一帯は、KLのシンボル、ペトロナスツインタワーを中心にホテルやビルが立ち並ぶ地区です。また ブキッ・ビンタン地区はKL随一の繁華街で大型ショッピングモールが立ち、ショッピングやグルメが楽しめるエリアです。

■アンパン

都心に近く、多くの外国大使館が集まっている閑静で高級な住宅地です。優雅な生活を好む人の居住先、外国人駐在員の滞在先として人気のエリア。居住用にも投資用にも適した地域です。インター校が多いのもこの地域の特徴です。


物件情報

■Stoner3 (ストナー3)

「三菱地所グループ」とマレーシアで50年以上の歴史を持つ大手デベロッパー「IGBコーポレーション」の子会社「タン&タン デベロップメンツ」との共同事業プロジェクト。クアラルンプールの中心部「KLCC地区」に位置し、クアラルンプールのランドマークである「ペトロナスツインタワー」や大型ショッピングモール「パビリオン」・「スリアKLCC」からほど近く、非常に利便性の高い立地です。また近傍には、日本大使館をはじめとする各国の大使館、KLCC公園、医療施設、インターナショナルスクールがあり住環境も優れています。

■Bukit Bintang City Centre (BBCC)(ブキッ・ビンタン・シティ・センター)

三井不動産グループ初となる直営型のサービス付賃貸住宅。高い利便性を備え、BBCCプロジェクト内で同グループが開発・運営を行う商業施設「三井ショッピングパークららぽーとクアラルンプール(仮称)」に隣接するため、居住者が生活用品などを購入しやすくなっています。2020年12月本体工事着工、2024年開業を目指しています。


この章のポイント

・外国人の不動産所有に対して開放的なマレーシアですが、州によって設定されている外国人が購入できる不動産の最低価格、保有年数に応じた不動産売却時の譲渡益課税には注意が必要です。


まとめ

今回は、マレーシア不動産購入の失敗例を中心にご紹介しました。失敗例を踏まえた先回りした投資計画で、将来のキャッシュフローの最大化を図りましょう。