2018/08/17
海外不動産投資のメリットデメリットを徹底解説!
近年注目を集める海外不動産投資について、メリットデメリットや、国ごとの特徴を徹底解説します。
目次
海外不動産投資には、成長性豊かな国での投資や投資コストの低さなど様々なメリットがある一方で、難易度の高い管理や不安定さといったデメリットもあります。
海外不動産投資のメリットは、分散投資や新興国の成長性、コストの低さなどです。
投資先を日本に限定せず海外にも投資することによって、リスクの分散化を図れます。投資するのならば、すべての資金を一つの市場に集中しない方が安全です。投資においては「卵は一つのカゴに盛るな」という格言もあります。
日本国内だけで投資していると、日本の経済が悪化した場合に、全資産が悪影響を受けてしまいます。海外にも投資していれば、日本の投資が上手くいかなくなっても、資産状況を立て直せるでしょう。
特にベトナム、フィリピン、タイなどの新興国で投資すれば、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の両方を狙えるでしょう。これらの国々では、人口が増加し続けていると同時に、経済も継続的に成長しています。新興国のマーケットはより大きな利益を狙いやすいです。
海外不動産投資をすると、外貨で家賃収入を獲得できます。例えば日本国内のみで投資していると、利益は日本円でしか入ってきません。日本円は非常に安定している通貨ですが、日本経済の状況によっては、価値が下がってしまうことも考えられます。経済の先行きが不透明な近年では、外貨建ての資産作りを進めることが、リスクヘッジとなるでしょう。
例えば、マレーシア・フィリピン・ベトナム・カンボジアといった新興国では、不動産価格が先進国と比べてとても安いです。これらの国々では、例えば日本と比べると不動産価格が3分の1で、シンガポールと比べると6分の1程度となっています。
また、人口増加も長期的に続くことから安定的な住宅需要の拡大が見込まれている新興国は、海外の不動産投資家から非常に人気です。
海外不動産投資には、成長性や価格などの面でメリットが多い一方、国を跨いだ物件管理や情報収集の難しさといったデメリットもあります。
海外不動産投資をするならば、効果的に物件を遠隔管理する方法が必要です。物件の価値を維持するためには、定期的なメンテナンスが重要になります。効果的な管理のためには、現地に精通した不動産エージェントに管理委託することも有効です。
これは、海外不動産投資の最大のリスクの1つです。現地通貨と外貨の為替レートの変動は避けられず、一般的には予測できません。例えば1ペソ=2円の為替レートであれば、10万ペソの利益が出ると20万円になります。しかし、為替レートが変動して 1ペソ=1.5円になったら、同じ10万ペソでも、利益は15万円に下がってしまいます。
海外の市場を活用するためには、その国の不動産法、税制、所有制限その他の法的規制を理解することが重要です。しかし、例えばwebで規制などを調べたとしても、英語や現地の言語を読解する必要があります。外国語で書かれた法律などは、現地の専門家でなければ正確な意味を把握するのが難しいです。
情報を収集するためには、現地の不動産弁護士などを雇うのがお勧めです。これは、不必要な支払いや詐欺の被害を防ぐためにも役立ちます。
新興国では、暴動、テロリズム、デモンストレーションなどに伴う政情不安のリスクがあります。こういったリスクを「カントリーリスク」と呼びます。政情不安が発生すると、現地の経済が落ち込むほか、海外企業が撤退するなど不動産投資に対しても悪影響が多いです。
海外では、通貨の海外送金自体が禁止されていたり、送金額に制限があったりします。現地の銀行で外国人の口座開設ができるのか、通貨の海外送金はできるのかといったポイントは、物件購入の前に確認を要するポイントです。
マレーシア不動産は物件価格や手数料が安く済む上に、海外送金に関する制限もない点などがメリットです。一方で、外国人による不動産購入には、最低購入価格の制限が設けられています。物件によっては利回りが下がってしまう点はデメリットです。
過去20年間の大きな経済成長にもかかわらず、マレーシアの物件はまだ手頃な価格で購入できます。物件価格が低いので利回りが上がりやすく、大きな利益を狙える点はメリットです。
シンガポール、タイ、オーストラリア、イギリスなど他の国と比べると、マレーシア不動産は物件購入の諸費用がとても安いです。マレーシア不動産を購入する諸費用は、4〜5%程度で済みます。
マレーシアの多くの銀行は外国人投資家に対する融資に積極的です。なお、金利は約4.4%となっています(2018年8月時点)。また、マレーシアは通貨の海外送金に関する規制がありません。
マレーシア不動産は、特に5年以上物件を保有した場合は、キャピタルゲイン税が周辺他国と比較して安いです。なお、マレーシアでは、キャピタルゲイン税のことを「リアル・プロパティ・ゲイン・タックス(RPGT)」と呼びます。
2014年以降、マレーシア政府は、外国投資家による不動産の購入に対し、最低購入価格をRM100万とする規制をかけました。これは、外国人投資家の投機を防ぐために設定されています。RM100万という価格はマレーシア国内では高額なので、物件によっては利回りが低いものもあります。
しかし、最低購入価格の制限は州や物件のタイプによって異なります。したがって、投資を検討している地域の最低購入価格を知ることは重要です。2020年はマレーシア不動産の最低購入価格がRM60万に引き下げられています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
フィリピンの不動産投資には、外国人も融資を利用しやすいメリットがあります。一方で、外国人に課される税金が高いことや所有できる物件に制限があることなどはデメリットです。
フィリピンでは、ますます多くの銀行が外国人に融資し始めているので、外国人も融資を使いやすくなりました。一般的に、外国人でも物件価格の80%まで融資を利用できます。ただし、融資限度額は銀行によって異なるので要注意です。また、ローン利用の難易度も、ビザの種類や状況によって異なるので、事前の確認が必要になります。
フィリピンでは、特に非居住者に課される税金がかなり高いです。年間の不動産税率は、メトロマニラでは1%、市外の地域では2%です。また、非居住者には税控除もないので、25%の所得税が課税されます。
外国人はフィリピンの土地を所有できません。しかし、フィリピンに投資する外国人は、50年間は土地をリース可能です。また、リース資格は1度に限り最長で25年間更新できます。フィリピン不動産投資については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
タイ不動産のメリットは、投資環境の良さと融資を利用できることです。一方で、物件の見極めに注意を要するポイントなどはデメリットとなります。
タイは、カンボジア・ラオス・ベトナム・ミャンマーといった新興国から、飛行機で1時間の距離に位置しています。タイは周辺の新興国へ投資しやすい立地にあるため、経済的な成長機会が多いです。
タイバーツは、アジアで最も安定した通貨の1つです。過去10年間を振り返ると、シンガポールドルまたは日本円よりも安定しています。通貨や経済が比較的安定しているため、タイ不動産は値崩れする可能性が低いです。通貨や不動産価格が安定しているのは、投資家にとって理想的な投資環境と言えるでしょう。
タイ不動産投資の融資は、ICBC、中国銀行、UOBなどの国際銀行で利用可能です。海外の投資家がタイ不動産を購入するには、資金をタイバーツ以外の外貨で売主へ送金しなくてはいけない規制があります。このため、融資の申請はバンコクで行い、シンガポールの支店から資金が送金されます。
資金はシンガポールドルまたはアメリカドル建てです。なお、融資額は物件価格の70%が上限で、返済期間は一般的に10年〜20年に設定されます。返済については、タイの支店を通じてタイバーツで行えます。
タイも外国人は土地を保有できません。一方、タイのフリーホールドコンドミニアムについては、外国人は全ユニットの49%相当戸数までを購入できます。また、リースホールドのコンドミニアムについては、外国人は30年間保有することが認められています。
タイは所有権の法律が強く、安全なコンピュータ化されたタイトルシステムを提供しています。このため、物件の所有権登記などに関しては特に心配ありません。また、評判が高く、長年の歴史を持つ大規模な不動産デベロッパーはたくさんタイにあります。
大規模なデベロッパーには、大きな問題はないでしょう。しかし、限られた経験を持つ中小企業には注意が必要です。建物が完成して引渡しの準備が整ったら、建物を点検するインスペクターを入れることを強くお勧めします。
ベトナム不動産投資には、国の高い成長性や外国人の在留が許可されるといった点でメリットがあります。一方で、通貨が弱い点や外国人投資家に対する規制が多い点などはデメリットです。
ベトナムは、米中貿易摩擦も追い風として経済を大きく拡大しています。また、2020年初から世界的に流行したコロナウイルス感染症の拡大抑制にも成功しており、2020年の第二四半期はASEAN諸国の中でも、ベトナムだけは唯一GDPがプラス成長しました。東南アジアの新興国の中でも、ベトナムは非常に成長性が高い国です。ベトナム不動産投資では、経済の成長に伴う値上がり益など、大きな利益を狙えるでしょう。
不動産を購入した外国人には、50年の在留期間が認められます。また、在留期間は承認がある限り更新可能です。
ベトナムでは、不動産の所有権登記に関する法律などがしっかり整備されています。権利関係について特に問題は起きないでしょう。投資に当たって何か問題が起こるとすれば、売り手に関わるものが予測されます。他の新興国と同じように、物件の売主について評判などを調べることが重要です。
ベトナムは大きな可能性のある国ですが、投資にあたっては注意点も多いです。ベトナムドンはアジアの中でも価値が低い上に、ベトナム国内では海外資本に対してたくさんの制限があります。ベトナムで投資することは必ずしも悪い考えではなく、利益を上げる可能性はあるでしょう。
しかし、東南アジア全体に目を向けると、他国が持つメリットは非常に大きいです。マレーシアでは土地を所有でき、永住ビザも取得できます。また、タイでは通貨の安定性が大きなメリットです。カンボジアもベトナムに負けないぐらい急速に経済が成長しています。
外国人は、これら3つの市場において不動産の自由所有権を取得することができます。外国人投資家に対する規制が多いベトナムとは対照的です。
ベトナムでは、土地はすべての人々に属し、州によって規制されています。これは、外国人とベトナム人は土地を所有できないと言う意味です。しかし、ベトナムで土地を使う権利は取得できます。 ベトナムへの入国許可を得られた外国人は、マンションや住宅などを購入し所有できます。
しかし、外国人によるマンション・ヴィラ・タウンハウスなどの所有割合は、それぞれ30%と10%に制限されています。ベトナムでは、外国人がどんな物件も好きなだけ買えるわけではありません。
カンボジア不動産投資のメリットは、外国の影響を受けにくい経済の強さと取引の安全性にあります。一方、多くの他国と同じく土地は所有できない点などがデメリットです。
カンボジアは今後10年間、興味深い国になるでしょう。急速なペースで成長する経済で、政治的に少し不安定な状況では、リスク選好度の高い投資家は大きな利回りを得られます。東南アジアの最後のフロンティア国のひとつとして、外国人投資家を「オープンアーム」で歓迎するカンボジアは、不動産投資家にとって面白い遊び場になるでしょう。
カンボジアはコロナ以前の20年間にわたり、1回も景気後退を経験していません。 1990年代のアジア金融危機と2000年代初頭のITバブルを乗り越え、2008年の金融危機においても成長を続けてきました。カンボジアは多くのフロンティア市場と同様に、世界経済の影響を受けにくいです。
カンボジアでは、外国人はコンドミニアムを所有できます。ただし、1階部分の住戸は所有できないほか、外国人による所有は1棟あたり70%相当のユニットまでに制限されています。カンボジア企業を通じて私有財産の49%を所有することができます。しかし、その会社の株式の51%はカンボジア人が保有しなければなりません。
外国人は土地を所有することはできませんが、現地企業を通じ買収したり、土地を借りたり、カンボジアのノミニーを通じて購入したりすることで、支配権を行使することができます。
カンボジアの土地には、「ハードタイトル」と「ソフトタイトル」という2種類の所有権があります。例えば土地の所有権を巡って裁判になったときは、ハードタイトルの持ち主の方が優遇されます。ただし、土地の所有権なので、外国人はどちらも取得できません。
一言で言うと、安全です。外国人は、正当な手続きを踏めばフリーホルド所有権および物件を取得できます。しかし、土地の所有権が「ソフトタイトル」に基づいたコンドミニアムでは、購入したい物件に他のクレームがないことを確かめるのが重要です。土地事務所の公共記録情報を調べると良いでしょう。
アメリカ不動産投資のメリットは、アメリカの経済規模を活かした成長性と外国人投資家に対して規制がないことなどです。一方、集合住宅では管理組合の規則で外国人の住戸所有が制限されているほか、アメリカ国内のローンは利用条件が厳しいなどのポイントはデメリットです。
アメリカは世界で最も裕福な国で最大の経済国です。また、海外投資家は「オープンアーム」で歓迎されるため、規制がほとんどありません。なお、米国経済はすでに世界金融危機(GFC)から回復しており、不動産価格は金融危機前の価格を上回っています。
日本はアメリカと租税条約を締結しているため、日本人投資家はアメリカ不動産投資によって節税メリットを享受できます。また、アメリカ国内の特定の収入に対しては、税金免除の特例もあります。
非居住者の場合、固定資産税の税率は15%です。
外国企業および個人(「国際投資家」)は、アメリカの貿易または事業と効果的に関連する所得(「米国源泉所得」)にのみ所得税があります。アメリカでの不動産売却による賃料収入および利益は、源泉所得に30%の税金が課されます。
アメリカでは外国人投資家への規制はありません。アメリカ国内の不動産や土地を購入し所有することができます。しかし、外国人投資家はIndividual Taxpayer Identification Number(個人納税者番号)を持っていなければなりません。個人納税者番号は、外国人に割り当てられた納税整理番号です。
外国人投資家は、戸建て住宅、コンドミニアム、やタウンハウスを購入できます。しかし、アメリカのHousing Cooperatives/co-ops(住宅協同組合)には、外国人による物件の所有を禁止する規則を設けているところも多いです。
30〜40%のダウンペイメントを払った適格外国人は、アメリカ不動産購入のためにローンを組めます。しかし、銀行は外国人に対して不動産価格の3分の1(10万ドル以上)以上の預金を求めることが多いです。最低10万ドル以上の預金をすることは、外国人には少々ハードルが高いと言えるでしょう。
アメリカの各州には、購入契約の種類、売却の方法、不動産の購入に関する独自のルールがあります。購入者は、通常、タイトル検索と保険、および法律手数料を支払う責任を負い、諸費用として物件価格の1〜2.25%相当の金額を払います。
また、アメリカの不動産を購入しても、長期のビザまたは居留許可などを直接取得することはできません。米国のパスポートを入手することはますます難しくなっているからです。
海外不動産投資には様々なメリットがある反面、リスクもかなり存在します。しかし、重要なポイントは海外不動産投資が儲かる投資であるかどうかというところではありません。
例えば自分が多額の資金を投入しハイリスク・ハイリターンの投資をしたいのか、もしくは少額投資でローリスク・ローリターンの投資をしていきたいのか、どういう風に資産形成をしていきたいのか、まずは投資目的を明確にした上で、是非検討してみてください。
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