2019/05/30
ペナンの投資環境と新規プロジェクト2019年(2/2)
■2019年見通し
2019年のマレーシア全体の不動産市場の活動は、2018年末時点での取引の量・金額から判断すると、安定的なものになるとみられています。不動産の在庫停滞問題は徹底的な取り組みがされ、全体的な対策を打つ必要があります。停滞しているからと言って必ずしも過剰供給だというわけではありません。ミスマッチ、手ごろ感や生活費など、他にも要因があるといいます。適切な需要に応える、適切なロケーション、適切な価格、適切なタイプを見つけることが重要なのです。
ペナン不動産市場はしばらく不活発だとみられていますが、今年は回復力を見せ、今後2年以内にどん底を脱する見込みです。
レジデンシャル
レジデンシャル市場について、各社さまざまな見方をしていますが、全体としては、不活発な状態が続くものの、新政権・地方政府の政策、デベロッパーが提供するインセンティブなどの販売政策により、在庫停滞の状況はじきに解消されるだろうと見方が多くなっています。
[CBRE/WTWリサーチ]
全体的に緩やかで不活発な状態が続くと予想しています。一方で、在庫停滞状態は今後2,3年で緩和するだろうとしています。デベロッパーが特別パッケージを用意したり、販売開始を延期したりすることにより、需要が供給に追いついてきそうです。また、政府が行う各種の政策その他の努力により、中長期的な見通しはいたってポジティブです。
国家不動産情報センターの情報を引用し、CBRE|WTWはリサーチは、2018年後半期時点で、16億リンギット(約418億円)相当の高層物件2,200ユニット以上が在庫停滞状態となっているといっています。
これは、過去3~5年間で多くのアパートやコンドミニアムユニットが販売開始、建設、完成したことによるもので、エンド・ファイナンシング(金融機関が特定のプロジェクトの購入者に融資を提供すること)の高い却下率、リリースされないブミプトラ(マレーシア人優遇政策)ユニットと二次的なロケーションにあるユニットに対する需要が低いこととも相まっています。
同社によると、売れ残りのレジデンシャルユニットについて、約34%が500,001~1,000,000リンギット(約1,300万円~2,600万円)の価格帯のもの、約58%が1,000,000リンギット(約2,600万円)超の価格帯のものが占めています。1,000,000リンギットを超える停滞在庫の額は約17.5億リンギット(約457億円)に上るといいます。
また、高層プロジェクトは特に、在庫停滞の状況を受けて、販売への圧力が高まっているとしています。低迷中の市場の中、デベロッパーは、販売価格のキャッシュバックや、少額の頭金または頭金なし、24か月を限度とする緩い分割払い、販売価格の30%前後を5年にわたってゼロ金利で繰り延べ払い、弁護士費用無料、メンテナンス費用初年度無料など、さまざまなインセンティブを提供するなどの手段に出ています。また、インテリアデザインパッケージ、キッチン・電化製品バウチャー、紹介・報奨制度などをコンプリメンタリーパッケージに含めている場合もあります。
[ライン&ホルン・マレーシアシニアパートナー/FIABCIマレーシア支部長マイケル・ゲー氏]
取引量・取引額ともに低迷状態が続くとみています。過去数四半期連続で、レジデンシャル市場の活動は、取引ユニット数において低下しており、せいぜい前年比で持ちこたえるレベルだと予想しています。全体としての低迷市場をかんがみると、不動産価格が2019年に大幅に上がることは期待できないと考えています。
[マレーシア不動産エージェント協会ペナン会長のマーク・ソー氏]
過去数年販売開始を見送っていたデベロッパーはそろそろ販売を開始するのではないかとみています。州政府が行う対策もまたペナンの不動産市場に活気をもたらすのに一役買うだろうとしています。
ソー氏はペナンの土地付き物件の価格が下落することはないだろうと話しています。しかし、高層物件の市場は依然課題の多い状態が続き、デベロッパーはインセンティブを提供するだけでなく、持家の別のオプションを提供する必要がありそうだと考えています。資金的に余裕がある、もしくは借入金の少ないデベロッパーは、最近政府が発表したNational Home Ownership Campaign(国家住宅所有キャンペーン)と並行して、レント・トゥー・オウン(購入選択権付の賃貸)などの方法に目を向けることもできそうだとしています。
[ナイトフランク・マレーシア]
これといった全体的なトレンドなくまちまちな状態が続くだろうとしています。需要と供給の相互関係や経済全般により、それぞれの部門において異なった動きを見せている中、レジデンシャルは、取引量・取引額ともにトップで、2018年の前半期には、前年比で取引量+5.4%と回復してきており、この動きが今後も続くとみています。
オフィス
ナイトフランク・マレーシア、CBRE|WTWリサーチはともに、ペナンのオフィス部門について、安定的な賃料と高い稼働率を維持しているとしています。過去10年間、ペナンにおける新規オフィス供給が限定的だったため、フンザ・タワーや、ストレーツ・キー・コマーシャル・スイートなどの新しくロケーションの良い目的別のオフィスビルは、新しいベンチマークとなるような賃料を提示しているにもかかわらず、素晴らしい稼働率を誇っています。これらの新しい建物のテナントとなっているのは、新規設立されたオフィスだけでなく、古いオフィスビルから移ってきたオフィスもあります。テナントは、現代のニーズに合い、企業イメージを強化してくれるような新しいオフィスビルを求めているのです。このような、新しくロケーションのよいオフィスへの繰延需要は今後短期的に続きそうです。というのも、今後の目的別オフィスビルの完成は2020年以降の予定だからです。一方で、古いビルは、需要が下がることで、賃料も下がり、価値も下がることが予想されています。
2018年央の時点で、ペナンの目的別オフィスビルの全体の稼働率は前年比で82%から77%へとわずかに減少しています。稼働率は今後しばらくは80%前後で推移するものとみられています。
ジョージタウンのプライムオフィススペースの賃料は、平方メートルあたり26.9~37.7リンギット(700~980円/平方メートル)となっています。ジョージタウン外のプライムオフィス、特にバヤン・レパス/バヤン・バル、タンジュン・ピナン(タンジュン・トコン)の比較的新しいビルでは特に、平方メートルあたり35.5~48.4リンギット(925~1260円/平方メートル)とさらに高い賃料を記録しています。
メンテナンス費用が上がっているため、CBRE|WTWリサーチは、短期的にほとんどの建物においてオフィススペースの賃料は上がることを見込んでいます。プライムオフィスの平均賃料は、新築オフィスビルがより高い賃料を提示していることにより、全体的に押し上げられるでしょう。
リテール
ペナンのリテール部門について、ナイトフランク・マレーシアは、現在の供給状況が変わらず続くだろうとしています。バトゥ・カワンにIKEAが2019年3月にオープン、ペナン・タイムズ・スクエアの拡張なども見込まれており、リテール部門は今後より厳しい状態となりそうです。
CBRE|WTWリサーチもまた、ペナンのリテール部門は楽観的ながらも慎重な姿勢を見せていることから、不活発な状態が続くとみています。リテールコンプレックスによって、業績の良いところ、悪いところの差がはっきりと出てくるとしています。しかし、後者に引きずられて全体の稼働率と平均賃料は下がりそうだとしています。同社によると、2018年央の稼働率は72%、ペナン島は79%で対岸のスブラン・プライは63%でした。
リテールコンプレックスの中で、最高の賃料を記録したのは特定のプライムリテールコンプレックスの一階の店舗用地で、平方メートルあたり484リンギット(約12,645円)でした。
ゲー氏は、マネジメントがしっかりしているロケーションの良いモールは今後も生き残るとしています。一方で、ソー氏は、ペナンのリテール部門についてはそれほど楽観的でなく、「すでに数年飽和状態が続き、終わりが見えない」と考えています。
(出所:NAPIC、The Star Malaysia)
■新規プロジェクト/ピックアップ物件
上記のように、マレーシア全体の不動産市場はあまり活発な状態を見せておらず、デベロッパーの中には在庫を売り出すべくいろいろなインセンティブを繰り出しているといいます。値上がりは短期的には期待できなさそうですが、多彩な文化と自然が楽しめる、アジア屈指のリゾート地ペナンにホリデーホームを購入するにはいい機会かもしれません。
・The Marin at Ferringhi(ザ・マリン・アット・フェリンギ)(完成済み)
・Alila2(アリラ2)(完成済み)
・The Tamarind(ザ・タマリンド)(2019年完成予定)
・Straits Residences Tanjung Pinang(ストレーツ・レジデンシーズ・タンジュン・ピナン)(2020年完成予定)
・City of Dreams Penang(シティー・オブ・ドリームズ・ペナン)(2020年完成予定)
ペナンにご興味を持たれた方!明後日(2019年6月1日(土)、6月4日(火))には、ペナンへの移住を学び、リゾートホーム「The Marin at Ferringhi」をご紹介するイベントが開催されます。ぜひご登録・ご参加ください。イベントページはこちら
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