[フィリピン] リーチュウ・プロパティ:2024年の不動産市場はより包括的な成長へ

2023/12/29


不動産ブローカーのリーチュウ・プロパティ・コンサルタンツ社(Leechiu Property Consultants)によると、マニラ首都圏の主要な商業地区の不動産価格は、国内外からの逆風にもかかわらず、その水準を維持しています。



2023年にあった注目取引は、マカティ市のレガスピ・ビレッジにある1平方メートル当たり100万ペソ(約255万円)の商業用地や、同じくマカティにある1平方メートル当たり150万ペソ(約380万円)以上の商業用地です。



ベイエリアでは、商業用地が1平方メートルあたり40万ペソ(約100万円)で取引されました。一方、アラバンにあるフィリンベスト・シティは、マニラ首都圏南部の中心的なビジネス地区として、取引額が前年比15%増となりました。



リーチュウ社は、「大きな取引はありましたが、BSP(フィリピン中央銀行)の主要政策金利が今年5.5%から6.5%に100ベーシスポイント引き上げられたため、投資家の見通しは依然として慎重で、取引量はまだ少ない状態です。2024年に予想される金利引き下げが実現すれば、取引量に改善が見られるかもしれません。」と述べています。



一方、不動産投資信託(REIT)は、2021年のREIT初上場以来、ポートフォリオ総面積は243万平方メートルに拡大しています。



「REITは、高金利市場によるバリュエーションの圧縮にもかかわらず、ポートフォリオを拡大し続けています。しかし投資家にとって、REITは伝統的な不動産資産よりもかなり高い利回りで、魅力的な投資対象として見られています。」とリーチュウ社は述べています。



マニラ首都圏以外のゴルフ・カントリークラブの株価は、道路インフラ整備に後押しされ、2023年には2桁から3桁の高い伸びを示しました。リサール州のバレー・ゴルフ・カントリークラブ(Valley Golf and Country Club)が173%上昇を記録した一方で、マニラ首都圏では、マニラゴルフ(Manila Golf)が82%上昇し脚光を浴びました。



レジデンシャル市場も今年回復し、主にマニラ首都圏で40,555戸が販売されました。



レジデンシャル市場の業績は、コロナ禍が始まった約2年前、ピークに達していましたが、パンデミックの最中には困難に直面しました。その後の市場の落ち込みにより、デベロッパーは需要を呼び起こすべく、買い手に寄り添った優しい支払い条件の提示を始めました。



「しかし、こうした措置は(買い手が購入を取りやめる)バックアウトリスクを高めることにもなりました。2023年、デベロッパーは販売戦略を見直し、販売の拡大と購入者の減少の緩和のバランスをとるようになっています。」とリーチュウ社は述べています。



レジデンシャル市場は著しい成長を示し、不動産サイクルがより正常化に向かっていることを示しているとリーチュウ社は述べています。プレセールは前年比14%増、新規プロジェクトの立ち上げは前年比66%増と急増しました。



供給面では、魅力的な販売水準が達成されたことを反映して、第1四半期に新規発売案件が急増しました。しかし、バックアウトの増加が明らかになるにつれ、デベロッパーは在庫管理のために徐々に発売を抑制し、その結果、第4四半期の新規発売件数は前四半期比で30%減少しました。こうした傾向にもかかわらず、プレセールは好調を維持し、9,720戸が販売されたということです。



また、リーチュウ社によると、マニラ首都圏以外の住宅への関心が高まっているようです。特に、混雑が少なく、広いスペースを確保できる新興のタウンシップは、取得時のコストが首都圏と比べて少なくて済むことから、需要が高まってきています。



リーチュウ社は、「2024年の市場見通しは、より包括的な成長へのシフトを示しています。マニラ首都圏内の住宅プロジェクトが引き続き買い手を惹きつける一方で、首都圏の郊外、特に南部周辺地域のプロジェクトは需要水準は活発になると予想されます。」と述べています。



全国に広がるインフラ・プロジェクトは、地方間の接続性を高め、地域間のより広範な開発を促進しています。マニラ首都圏以外のタウンシップは、その立地条件から不動産価格が相対的に安くなっています。リーチュウ社は、インフラ整備が完了すると資産価値は上昇する傾向があるため、買い手はプレセールの段階にこの状況の活用してチャンスをつかむことができると述べています。




(出所:Business Mirror

(画像:UnsplashのREY MELVIN CARAANが撮影した写真)