2023/12/29
急速に高齢化が進むシンガポールは、今後予想される社会支出の急増を前に、政府の財源を確保するため、2024年1月1日から、物品サービス税(GST)を増税します。
食料品からダイヤモンドの指輪まで、あらゆるものに課税される物品サービス税は、1月1日より1%ポイント引き上げられ9%になります。2023年1月、物品サービス税は、それまで15年間据え置かれてきた従来の7%から8%に引き上げられたところでした。
今回の増税は、すでに上昇している生活費に上乗せされるもので、野党議員たちは値上げの延期を求めています。シンガポールの総合インフレ率は、1月と2月のピーク時の5.5%から11月には3.2%へと緩やかになりましたが、中央銀行は2024年の平均インフレ率が2.5〜3.5%になると予想しており、依然として高い状態が続きそうです。
政府は、シンガポールの高齢者人口の急増と医療費の増加に備え、国の財政を強化するために増税が必要だと説明しています。現在シンガポールでは、7人に1人が65歳以上ですが、2030年にはこれが4人に1人の割合になると推定されています。
8月、ローレンス・ウォン副首相は国会答弁で、「GSTの引き上げを延期することは、将来にさらなる問題を積み増し、増大する財政ニーズに対処するための財源が不足することになるだけだ」と述べています。
政府は、これまでに100億シンガポールドル(約1兆円)以上の「保証パッケージ」を各家庭に配布しました。これには、今月支給されたすべての成人シンガポール人に200~800シンガポールドル(約21,000円~85,000円)も含まれています。
一部の小売業者は、当面は増税分を転嫁しないと発表しています。家具ブランドのIKEAは、1%の値上げを吸収すると発表しましたが、いつこの取り組みを終了するかは明言していません。一方、スーパーマーケット・チェーンのフェアプライス・グループは、米や野菜など500品目の必需品の値上げを吸収すると発表しています。
※1シンガポールドル=約107円で換算しています
(出所:Business Inquirer)
(画像:UnsplashのHu Chenが撮影した写真)
もっと詳しく知りたい方はこちら