2021/03/31
フィリピン不動産投資の実態は?リスクや不動産会社について
フィリピンを含む新興国の不動産投資では、プレビルドの物件を購入するのが一般的ですが、プレビルドの物件には竣工リスクもあります。
竣工リスクを軽減するためには、デベロッパーの見極めが重要です。フィリピンで取扱物件を決める際に、デベロッパーを見極める基準などは設けているのでしょうか?
はい、弊社では以下のポイントを確認しながらデベロッパーの見極めをしています。
・会社規模:上場企業ないしは上場企業に準じる規模を持っているか
・物件の分譲実績:物件を問題なく完成させた実績がどの程度あるか
・物件のクオリティ:過去に分譲した物件のクオリティが高いかどうか
・コミュニケーションの精度:問い合わせに対するレスポンスの早さや的確さ
これらのポイントを見るほかに、弊社の共同創業者であるシーラ・ベイロンへ情報を聞くこともあります。
シーラは東南アジアでの不動産業経験を豊富に持っており、フィリピン現地の不動産事情にも明るいです。
フィリピン不動産のデベロッパーには、具体的にどのような会社があるのでしょうか?
フィリピンには大手のデベロッパーもたくさんあります。
弊社が取り扱っている物件は、例えば以下のデベロッパーが建てたものです。
・アヤラランド
・アルタランド
・オルティガスランド
・ロックウェル
・フェデラルランド
・ロビンソン
・シャングプロパティ(マレーシア)
この中では、シャングプロパティは唯一マレーシアの不動産会社です。
フィリピンの会社ではありませんが、海外に事業展開するほどの規模を持っています。
また、フィリピンではデベロッパーが客層によって会社を分けていることも多いのですが、弊社はミドルクラスより上の客層をターゲットとするデベロッパーを選んでいます。
フィリピンでは、全ての建物に日本と同じクオリティを求めるのは、やはり難しいです。
しかし、基本的にお客様は日本人なので、できる限り日本クオリティに近い物件を建てられるデベロッパーと取引するようにしています。
例えば、カンボジア不動産投資では登記済証にハードタイトルとソフトタイトルがあり、物件の所有権を主張するためにはハードタイトルの取得が必要です。
特に新興国の不動産投資では、登記済証の取得可否もリスクになり得るわけですが、フィリピン不動産には登記済証の種類などはあるのでしょうか?
フィリピンでは外国人による土地の保有が認められていません。
このため、フィリピン不動産投資では、基本的にコンドミニアムを購入することになります。
コンドミニアムに関する登記済証は、CCT(=コンドミニアム・サーティフィケイト・オブ・タイトル)の1種類です。
なお、日本人投資家がフィリピンのコンドミニアムを購入する場合は、登記費用を売主へ支払うことで、全ての手続きを売主へ委託できます。
登記済証を取得するために、投資家がフィリピン現地へ行く必要はありません。
不動産投資の空室リスクを気にする投資家も多いのですが、フィリピン不動産投資では、主にどのような人が入居者ターゲットになるのでしょうか?
入居者は首都マニラの中でも物件とエリアによって異なります。
弊社では、投資家の方へスタジオタイプ(1R)の物件をお勧めしています。
どのプロジェクトでもスタジオタイプは最初に売り切れる点や、価格が安く売却しやすい点などから、投資の最終段階において売却のリスクが低いと考えられるためです。
例えば、オルティガスの物件ではスタジオタイプというと30㎡前後の住戸が多くなっています。
この場合は、物件の周辺に勤務する現地のDINKS世帯が入居者ターゲットです。
日本では、1Rというと単身者が入居者ターゲットになりますが、フィリピンでは狭い部屋に2段ベッドを入れて複数人で済む場合も少なくありません。
このため、単身者以外の人も入居者ターゲットになります。
その一方で、BGC(=ボニファシオ・グローバル・シティ)やマカティなどのエリアでは、外国人駐在員も入居者ターゲットになります。
フィリピンには外国人駐在員はどのくらいいるのでしょうか?また、主にどこの国の人が多いのでしょうか?
お話ししたとおり、外国人駐在員も入居者ターゲットにはなるのですが、メインのターゲットというわけではありません。
どちらかというと、フィリピン人のほうが比率は多いと思います。
フィリピン全体の都市化率は40%程度です。ちなみに、日本では90%ほど都市化が進んでいます。
フィリピンでは、都市化率の低さから、まだまだ多くの人が地方から都心に集まってくるので「地方出身のフィリピン人」も含めて入居者ターゲットと考えています。
日本の不動産投資では、入居者募集にあたっては、賃貸物件のwebサイトに広告掲出するなどが一般的です。フィリピンでは入居者募集はどのようにして行うのでしょうか?
フィリピンにも、日本と同じような賃貸住宅のwebサイトがあります。
例えば、LamudiやRentpadなどが代表的で、これらのwebサイトに広告掲出するのが一般的です。
しかし、フィリピンでは地元の不動産業者間のネットワークが強く、入居者募集もアナログなやり方で進めることが少なくありません。
このため、不動産業者に対する営業も重要なポイントです。
弊社が賃貸管理を請け負っているフィリピンの物件では、平均的に何%くらいの利回りが出ているのでしょうか?
分譲時の想定利回りも含めてお答えすると、表面利回りで5%〜7%程度です。
営業担当としても、フィリピン不動産は入口の利回りがそれほど高いとは思っていません。
しかし、フィリピン全体で経済成長に伴う物価上昇が起きていることもあり、1度入居者が入った住戸の賃料改定交渉も可能です。また、多くの交渉は成功しています。
このため、フィリピン不動産投資は、時間経過に伴う利回りの上昇が狙えるうえに、キャピタルゲイン狙いの投資としても有効と考えています。
webで検索すると、フィリピンの不動産市場では、不動産エージェントが個々に中古住宅の情報を握っていて、日本のように情報公開されていないという検索結果が多いです。
実態として、フィリピンでは中古住宅の売買はどのように行われているのでしょうか?
フィリピンにおける中古住宅のマーケットでは、賃貸仲介以上にアナログな部分が大きく、エージェント同士のつながりによる取引が多いです。
その点では、フィリピンでは中古住宅のマーケットが十分に整備されているとは言えないと思います。
ただ、弊社としてはいずれ物件を売却するお話も出てくることを見越して、中古住宅の流動性を高めるために、情報のハブとなるポータルサイトを構築しているところです。
フィリピン不動産投資の出口戦略では、どういった人が買手のターゲットになるのでしょうか?
大きく2種類に分けられると考えています。最初に考えられるのは現地の富裕層です。
日本人の間では、フィリピン不動産は安いイメージが浸透しています。
しかし、マニラの高級住宅街では1億円を超えるような物件もめずらしくありません。
現地人でも富裕層はかなりのお金を持っています。
あるいは、海外へ出稼ぎに行っている人もターゲットです。
2種類目のターゲットは欧米や中国系の富裕層・投資家などです。
ベイエリアの物件を売却する場合は特に、中国系の人たちがターゲットになります。
ただ、弊社が管理を請け負う物件を売却する場合は、日系の不動産業者と連携して、日本人の不動産投資家間で買い手を探すのを優先しています。
コンドミニアムを将来的に高く売却するためには、適切な建物のメンテナンスが重要です。フィリピンでは、日本のマンションにおける管理組合制度のようなものがあるのでしょうか?
フィリピンでも集合住宅の管理組合が組織されます。
フィリピン不動産の売買契約書には、管理組合が結成されることや、買主が管理費拠出の義務を追うことについても明記されています。
フィリピンでは、ビルマネジメントについては誰が請け負うのでしょうか?
基本的には物件の売主が連れてくる会社です。
ただ、アセットマネジメントやビルマネジメントという区分けについて、フィリピンでは、日本ほど住み分けが明確になっていません。
フィリピン不動産の入居者募集に関して、コロナの影響はありますでしょうか?影響ある場合は、コロナの前後でどのような変化が出ていますでしょうか?
やはり、外国人駐在員が帰国していることから、マニラ全体で空室率は上昇しています。
ただ、エリアによって空室の多さに違いがあるのも事実です。
マニラでは、中国人によるオンラインカジノが産業として大きいです。
しかし、フィリピン政府の規制によって、最近では多くのオンラインカジノが免許を剥奪されたり、営業停止になったりしています。
このため、フィリピンから中国に帰国する中国人も多いです。
また、中国人は海が見える部屋を好むこともあり、マニラの中でも海に近いベイエリアは特に空室が目立っている状況です。
フィリピン政府が発表している住宅価格指数の動向を見ると、特に首都圏のコンドミニアムは、コロナの前後で投機的な値動きをしている一面もあるように思えます。
海外投資家向けにREITの規制が緩和された影響もあるとは考えられますが、マニラでは特に、住宅の供給過剰が起きているとは言えないでしょうか?
住宅価格が上下した原因については、明確な根拠を持って把握できているわけではないのですが、ベイエリアにおける物件価格の値下がりなどは影響していると思います。
先ほどお話ししたとおり、ベイエリアに住む中国人で帰国する人も増えているためです。
そのほか、トランプタワーなどの高級レジデンスから外国人が退去することで、売り物件が増えていると推測されます。
しかし、トランプタワーなどは元の価格が高かったので、そう簡単には買手を見つけられません。
結果的に売手が値下げせざるを得ない状況になっています。
そのほか、プレビルドの物件などは、販売期ごとに価格を値上げするのが通常ですが、値上げ幅が小さくなっているのも影響していると思います。
フィリピン不動産投資で利用できるローンについては、どのようなものがあるのでしょうか?
大きく分けて2種類あります。現地の銀行で使える住宅ローンと日本国内の銀行による不動産担保ローンです。
ただ、弊社としては可能な限り日本国内の銀行をお勧めしています。現地の住宅ローンは固定金利で6%など金利が高いためです。
日本国内の銀行では、どこの銀行が融資しているのでしょうか?
東京スター銀行・オリックス銀行・SMBC信託銀行などが代表的です。
ただ、どの銀行も日本国内の不動産を担保に入れるので、誰でもローンを組めるわけではありません。
日本国内の銀行では、金利は何%なのでしょうか?
1%台〜2%台前半です。申込者の収入によって明確な線引きをされる場合もあるので、審査次第で変動します。
海外不動産投資にはリスクも複数存在します。特にフィリピン不動産投資で注意すべきリスクはなんでしょうか?
フィリピンでは天災リスクに要注意です。
例えばマレーシアやベトナムなど周辺の国と比較すると、地震や台風などの被害は多くなっています。
マニラも例外ではありません。
そのほかに気をつけるべきは、政治的なリスクです。
フィリピンでは、現在のドゥテルテ大統領が2022年に退任するため、大統領選挙が予定されています。
ドゥテルテ大統領の長女が次期大統領として有力視されており、下馬評通りの選挙結果になれば、外国人投資家に対する規制も変わる可能性は低いです。
しかし、選挙で別の人が当選した場合は、外国人投資家に対する規制変更などの可能性もあると思います。
フィリピン不動産投資では、経済成長に伴い国民所得の上昇が起きているため、家賃の改定交渉もめずらしくありません。
当初の想定利回りがそこそこの水準でも、賃料改定によって利回りの向上を狙える点は、日本の不動産投資では考えにくいメリットです。
また、現地人の所得が上昇することで、入居者ターゲットが外国人に限られない点もポイントです。
これまで、海外不動産投資では現地の富裕層や外国人が主な入居者ターゲットとされていました。
しかし、フィリピン不動産投資ではターゲットを拡大した戦略も狙えます。
空室率を抑えた投資も狙える点は、フィリピン不動産投資の大きなメリットです。
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