2023/11/30
総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンは、ホスピタリティ不動産は、観光客の増加に伴いフィリピンで最も活気のあるセグメントの一つとなっていると述べています。
■ホスピタリティ
ホテル部門は、フィリピン国内でも最も活気のあるセグメントのひとつとなっています。外国人観光客数は観光省の設定した2023年目標を突破しそうなところまで来ており、国内では稼働率および客室料が上昇を続けています。出張者や対面での企業イベントの増加も、MICE(会議・インセンティブ・会議・展示会)施設の需要を押し上げています。
2023年、レジャー部門の供給が記録的な高水準であったとして、コリアーズは、今後も拡大が続くと予想しています。関係各社は、MICE施設をさらに建設して対面イベントの復活を活用し、国産ホテルブランドの開発や外資系ホテルの買収を進め、観光省の戦略に沿ったプログラムやサービスを提供することで、このチャンスをつかむべきだとも述べています。
コリアーズの予測によると、ホリデーシーズンの到来と年末のMICEイベントの増加により、2023年末までには首都圏ホテルの平均稼働率が65%に達するとみられています。マニラ首都圏の稼働率は現在、コロナ禍以前の水準に近いところまで来ています。2019年の平均稼働率は70%でピークを迎えましたが、コロナ禍の移動制限などにより、2020年には20%にまで急落していました。
レジャー不動産は、政府による交通インフラ整備の推進から恩恵を受けそうな不動産セグメントのひとつだとみられています。コリアーズは、国際空港や地方空港の拡張や近代化は、全国にホテルを展開するデベロッパーを後押しすることになるだろうと述べています。
■工業
2023年上半期の、フィリピンにおける投資申請額は過去最高の水準を記録しました。これらのプロジェクトは、今後12~24ヶ月の間に、工業用スペースや倉庫に入居する可能性が高いため、工業セクターにとってプラスの動きです。コリアーズによると、ルソン島中南部の工業団地に対する投資家の関心が依然として高いということで、デベロッパーが継続的に工業団地を拡大していくことで、アジアの製造拠点としてのフィリピンの競争力をさらに高めることにつながるだろうと述べています。
また、政府も積極的に投資の誘致を行っています。コリアーズは、より多くの外資を誘致するためには、官民の強力なパートナーシップが必要だとして、デベロッパー各社に対して、将来入居の可能性がある企業の要件を精査し、工業スペースの成約率を高めるために、積極的に割引などを提供していくべきだろうと述べています。また、住宅や商業施設の入るタウンシップの要素も併せ持つと良いだろうと提案しています。
道路が整備され、光熱費が安く、倉庫や関連施設のカスタマイズが可能なことから、工業スペースや倉庫を提供するマスタープラン・コミュニティは引き続き魅力的であるとコリアーズは述べています。
工業不動産開発のロケーションとしては、ルソン島中部に注目が集まっており、パンパンガ州テコ工業団地のShera Building Solutions、クラーク・フリーポート地帯のEnvirotech、ターラック州カパスのニュー・クラーク・シティのStBattalionなどが、拡張計画を発表しています。
クラーク国際空港の近代化とスービック・クラーク貨物鉄道の完成は、ルソン島中部の工業不動産取引にプラスの影響を与えそうです。
コリアーズは、ルソン島中南部での工業スペースの拡大は、特にフィリピンに拠点を構えようとする製造業、特にマルコス政権が積極的に誘致を試みている外資系メーカーにとってはプラスになるだろうと述べています。
(画像:UnsplashのJC Gellidonが撮影した写真)
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