[フィリピン] 失業率がアジア新興国内最悪

2021/05/24

[フィリピン] 失業率がアジア新興国内最悪


2021年3月、失業率は落ち着きを見せたものの、フィリピンはアジア新興国内でも最悪の労働市場であったと、国家経済開発庁(NEDA)のレポートが伝えています。


2021年3月の失業率は7.1%と、域内でも最も長く厳しいCovid-19ロックダウンの真っ只中であった2020年4月以来の最低値となりましたが、NEDAは、NCRプラスと呼ばれるマニラ首都圏と周辺4州(ブラカン、カヴィテ、ラグーナ、リサール)がより厳しい「強化されたコミュニティ隔離措置(ECQ)」を2週間実施したのちに、「修正を加えたECQ(MECQ)」を実施したことで、この動きを一時的に逆行させることになるかもしれないと述べています。


▶関連して読む
[フィリピン] 2021年3月の失業率は7.1%に低下



「しかし、2020年4月の時と比べると影響の深刻さは減るだろう、というのも現在のコミュニティ隔離措置にはよりリスクマネジメントがされたアプローチを取っているからだ」とNEDAは述べています。フィリピン経済の半分を占めるNCRプラスでは、昨年のECQとは異なり、必要不可欠な施設については営業が認められています。



過去最高の17.6%

2020年3月中旬から5月まで、経済の約75%が閉鎖したフィリピンでは、失業率が史上最高の17.6%に達しました。720万人のフィリピン人が失業状態にあったことになります。


コミュニティ隔離措置が徐々に緩和され、フィリピンの失業率も安定的に下がり、2021年3月には7.1%となりました。340万人のフィリピン人がいまだ生活のための収入がない状態です。

しかし、NEDAのレポートによると、アジア新興国7か国のうち、フィリピンの最新の失業率が最も高いということです。


他国の失業率は以下の通りとなっています。

インド:6.7%(2021年1月~2月)
マレーシア:4.8%(2021年2月)
ベトナム:2.4%(2021年3月)
中国:4.2%(2020年12月)
タイ:1.9%(2020年10月~12月)
インドネシア:7.1%(2020年8月)


NEDAはこれについて、「アジア各国の最新の失業率と比較しても、フィリピンの失業率は比較的高いレベルにとどまっている。しかし、対前月の改善で見ると、世界の労働市場の回復のトレンドと足並みをそろえている。」と述べています。


「それにもかかわらず、パンデミック前のレベルの失業率2020年1月の5.3%にまで戻るのは挑戦だ」とも付け加えています。


NEDAとしては、「現状の衛生上のリスクと経済ショックに対応しながら、一連の景気回復策とワクチンプログラムを加速させることが、経済の再開と、最近の雇用の回復を持続させるためには重要だ」としています。


NEDAは、「今後数か月でワクチン接種を加速させることは、集団免疫を達成するうえで必要で、経済の段階的な再開を可能にします。同様に、ワクチンの供給が安定してきたら、ハイリスク人口や最重要経済の最前線の人々(ワクチン優先グループA4)を中心としたワクチンの配布をさらに推進する必要があります。これらのワクチンの効果的な接種に、低リスクエリアの安全かつ段階的な再開を加えることで、信頼感を構築し、経済に職や所得を生む余地を回復させるのです。」と述べています。


(出所:Business Inquirer

(画像:Photo by Lyndon Aguila from Pexels)