2021/12/20
グリーンでサスティナブルな特徴を備えることが、パンデミック後の未来に備えたオフィスやレジデンシャルタワーには欠かせない、と総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンのジョーイ・ボンドック氏は述べています。
コリアーズによると、コロナ禍により、サスティナブルなオフィススペースやレジデンシャルユニットの採用が加速しており、このトレンドが2022年以降の不動産市場の回復を補完していくだろうということです。
入居者の保持・誘致戦略の一環として、コリアーズ・フィリピンは、既存の家主やデベロッパーがウェルネスにかかる特性に重点を置くだけでなく、グリーンな部品の後付けなどの活動も行っていくべきだとしています。グリーンでサスティナブルな住宅もまた、今後のトレンドとなっていくだろうと述べています。
パンデミックにより健康的な空間にいることへのニーズが高まり、デベロッパー各社がプロジェクトにグリーンな技術を盛り込もうとしています。このトレンドが、メトロマニラ内外のレジデンシャル需要を再定義することになるでしょう。
ウェルネスの促進
コリアーズは、家主に対して、建物のウェルネス関連の特徴を最大限に活用し、LEEDやWELLなどのウェルネス関連の認証に優先順位を置くべきだと述べています。コリアーズによると、2021年~2023年の新規オフィス供給の37%がLEED認証ビルだということです。
さらに、コリアーズが家主に対して提言している内容として、ろ過した空気の循環、低密度、自然光を取り入れるためのガラスの割合増などを設計に織り込むこと、感染拡大を避けるための対策実施など、衛生面を含めた不動産管理能力や緊急時の対策強化などがあります。
コリアーズは、今後の不動産市場について、ナレッジ・プロセス・アウトソーシング(KPO)企業、多国籍企業(MNC)、そして従来企業など、目の肥えたテナントが増えてくることで、アップグレードする方向に向かうだろうと見ています。したがって、市場は、基本的な構造のものから、エネルギー効率の高いシステムを備えた、より広々とした、LEED認証を受けた建物へと移行し、従業員やビジターの全体的な体験を向上する結果となるでしょう。
真正証明書
コリアーズ・フィリピンのレポート「Is there a greener pasture in the Philippine real estate market?」では、パリ協定への自国が決定する貢献(NDC)を達成するための取り組みを支援する不動産業界の役割は、不動産開発の発展を促進するのに欠かせないものだと述べられています。不動産業界は、経済および環境のオポチュニティに直結しています。
そんな中で、グリーンビル認証は、エンドユーザーにとって「真正証明書」の役割を果たしています。フィリピン人のミドル層~高級層やMNCは、グリーンビル認証の有無を気にする傾向にあるようです。
LEED、BERDE、WELLおよびEDGEがフィリピンで広く使用されているグリーンビル認証です。これらの格付けシステムは、独自の基準を持ってお互い補完しながらもひとつの共通のゴールである「2030年までにフィリピンの排出量を70%削減する」を支援しようとしています。
設計上の戦略
レポートでは、グリーンビル基準を適用する直接的な利点として、安全な環境を促進する、健康とウェルビーイングを向上させる、不動産開発の環境への影響に対応するといったものが挙げられます。メトロマニラですでに採用されている設計上の戦略の中には、例えば以下に掲げるもののように、地方に容易に展開できるものもあります。
コリアーズは、今後特に、自然光が入り、最適化された空気質を提供するサスティナブルな建物を優先する傾向が高まるだろうと予測しています。
今後3~5年は、このようなサスティナブルな特徴があることで、人材の確保やユーティリティ費用の節約、より健康的でより生産性の高い労働力につながることが期待されています。
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(出所:Business Inquirer)
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