[マレーシア] ジョホール州急成長の恩恵を受ける不動産・建設セクター

2023/09/26


ジョホール州の不動産および建設セクターは、政府主導の触媒的開発や外国および国内からの直接投資の流入に後押しされた、ジョホール州の超高成長局面の恩恵を受けようとしています。



イスカンダル・マレーシアの不動産市場は2015年から2021年にかけて厳しい局面を迎えましたが、大手デベロッパーはこの地域の長期的な見通しに自信を保っています。



つい最近、サンウェイ・グループ(Sunway Group)はペンダスの約433ヘクタール(1,071エーカー)の土地の残りの40%の株式を取得し、エコ・ワールド・デベロップメント(Eco World Development Bhd)は産業開発用にクライの約163ヘクタール(404エーカー)の土地を購入しました。



ASEANを中心にリサーチを行うRHBリサーチ(RHB Research)は、イスカンダル・マレーシアでは土地の取得が増え、不動産販売が伸びていることから、多くのデベロッパーにとって重要な市場であると述べました。



RHBリサーチは、不動産と建設セクターの「オーバーウェイト*」コールを維持しています。不動産分野では、UEMサンライズ(UEM Sunrise Bhd)サンウェイ(Sunway)に注目していると述べています。


*オーバーウェイトとは、投資において、運用時の資産配分を決定する際に、投資対象への配分比率を、基準(ベンチマーク)となる資産の配分比率よりも高くすることを指します。



ジョホール州は建設業も盛んで、23年第2四半期は四半期ベースの工事額は38億リンギット(約1,200億円)に達し、過去13四半期で最高、全州の中で第2位となりました。



ジョホール州では2023年8月末時点で913件、96億リンギット(約3,033億円)相当の建設プロジェクトが発注されています。今年8月までのプロジェクト受注額では、ジョホール州はセランゴール州のすぐ後ろにつけています。



RHBリサーチは、建設分野では、サンウェイ・コンストラクション・グループ(Sunway Construction Group Bhd)ケルジャヤ・プロスペック・グループ(Kerjaya Prospek Group Bhd)マレーシアン・リソーセス(Malaysian Resources Corp Bhd)を推奨する一方で、エコヴェスト(Ekovest Bhd)は非推奨としています。



RHBリサーチはさらに、ジョホール-シンガポール経済特区設立に関する最近の発表や、クアラルンプール-シンガポール高速鉄道計画に関する最新情報は、同セクターにとって今後の重要なイベントとなるだろうと述べています。また、ジョホールバル-シンガポール高速輸送システム(RTS)連結プロジェクトの進捗状況は、成長見通しが見えることから、バイヤーの信頼感を大幅に高めているとも指摘しています。



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RHBリサーチは、国境を越えた交通量の増加と強力な 「SGD(シンガポール・ドル)要因 」は、住宅、小売、ホスピタリティを含む地元の不動産セクターに恩恵をもたらすはずだと指摘しています。


また、「ジョホール州中部地域の賃貸住宅需要は、今後数年間でさらに大きく伸びる可能性が高く、一方、新規投資の流入は、長期的にはジョホール州の一人当たり国内総生産を押し上げ、住宅価格の上昇につながると予想される」とも述べています。



有利な労働条件とまだコントロールの効く建築資材の価格動向により、住宅建設業者はジョホール州のインフラ革命の波を活用することができています。



ジョホール州の住宅建設業者にとっての注目すべきオポチュニティには、RTSプロジェクトの残りの部分、イスカンダル高速鉄道、工業団地のデータセンターなどがあります。



RHBリサーチは、「イスカンダル・マレーシアの成長による波及効果は、住宅建設業者に利益をもたらすだろう」と指摘しています。




(出所:New Straits Times

(画像:UnsplashのVen Jiun (Greg) Cheeが撮影した写真)