【初心者向け】シンガポールでコンドミニアム購入時の注意点まとめ!

2017/12/04


この記事の3つのポイント

シンガポールでは、外国人は土地、土地付き住宅(一部地域除く)、HDBの所有は不可
非居住者の外国人でも、コンドミニアムの購入は可能(一棟丸ごとは不可)
外国人の不動産取得には加算印紙税(15%)が課される


▶前回の記事:政治・経済からみた投資環境(シンガポール編)


前回はシンガポールを政治と経済、および人口の観点からご紹介しました。今回は、シンガポールで外国人が不動産を購入することについて、詳しくご紹介します。



背景と条件


東京23区と同程度の面積であるシンガポールにおいて、土地は貴重な資産です。


そのため、外国人による不動産の所有に関して、一定の制限が設けられています。


1973年に施行された「居住用不動産法」に基づき、留意したいポイントは以下の通りです。



・原則として、外国人は土地、土地付き住宅(一部の地域を除く)、HDB等を所有することは認められていません。

・非居住者の外国人でも、コンドミニアムの購入は可能ですが、一棟丸ごとの購入は不可となっています。

・シンガポールでは、国民の大半が「HDB(Housing Development Board)」と呼ばれる公営住宅に住んでいます。HDBは、シンガポール国民の生活の安定を目的としている住宅なので、原則として外国人がHDBを購入することはできません。

・外国人でも永住権保持者の場合、中古のHDB限定で購入が認められていますが、クリアしなければならない規制がいくつもあります。

・シンガポールの国土の大半は国有地であるため、コンドミニアムの所有権も、 ほとんどが99年や999年といった長期間のリースホールド(定期借地権)となっています。ただし、外国人でもフリーホールド(永久所有権)の物件を購入することができます。





不動産の種類と特徴


コンドミニアム:外国人の所有が認められている高級マンション。


プールや野外バーベキュー、24時間セキュリティなど、設備が充実しています。


ローカルの居住者もいますが、居住者の多くは外国人駐在員となっています。




戸建:原則として、外国人は土地付きの一戸建てを購入することができません。


テラスハウス、バンガロー、セミデタッチハウスなど、規模や広さ、付属する施設によって複数の種類があります。




HDB:外国人の購入が認められていない公営住宅。シンガポール国民のほとんどが住んでいます。





手続きの流れと注意点


不動産購入の手続きと、その注意点について見ていきましょう。



新築物件


物件が決まったら、仮契約を行います。


この時点で、手付け金の支払いが必要となりますが、新築物件の場合は、購入価格の約5%を支払います。


本契約までの2週間の間に、銀行の融資手続きや弁護士を探します。


なお、この時点で売買を取りやめた場合、頭金約5%のうち一部は返金されません。


本契約では、売買契約書にサインをして購入価格の約15%を支払います。


この後は、契約を解除することができません。


新築物件の場合は、建設の進行段階に応じて支払いを行い、物件の引き渡しと登記で完了します。


なお、金銭の受け渡しや書類の確認などは、すべて弁護士によって行われます。




中古物件


中古物件の場合は、仮契約の時点で手付け金として購入価格の約1%を支払います。


有効期限は2週間、その間に銀行の融資手続きや弁護士を探します。


なお、この時点で売買を取りやめた場合、頭金は返金されません。


本契約では、売買契約書にサインをして購入価格の約4〜9%を支払います。


この後は、契約を解除することができません。


中古物件の場合、本契約締結から約2カ月の期間内に残金を支払い、物件の引き渡しと登記を行うことで完了します。


なお、新築・中古ともに売買契約時に、約18%の印紙税を支払います。





留意点


かつてシンガポールは、不動産投資に有利な国だと言われてきました。


理由としては、外国人の不動産購入に対する規制が少なかったからです。


土地付き一戸建てやHDB、コンドミニアムの一棟購入などに規制がありますが、それ以外で外国人が不利になるような規制は少なかったのです。


しかも、相続税やキャピタルゲイン税は非課税です。


しかし、近年になって加算印紙税の税率が変更され、外国人の不動産取得には15%の税率が課せられるようになりました。


つまり、物件を購入した際には、通常の不動産取得者印紙税の約3%に加え、買い手が外国人の場合は加算印紙税15%が課されます。


例えば、1億円の物件を購入した場合、印紙税だけで購入価格の18%にあたる1,800万円を支払うことになります。


さらに、4年以内の住宅短期転売についても、最大16%という高い印紙税率が課せられています。


短期売買であれば、購入時の印紙税18%分と合わせて、購入価格の34%も支払うことになります。


従来より、シンガポールの不動産物件は周辺諸国と比べて高額でしたが、住宅不動産市場の加熱防止と投機抑止等を目的にした規制が加わることにより、外国人の不動産購入に必要な金額がさらに高騰することとなりました。




次回は


安定した政治体制と世界有数のビジネス環境から、不動産購入先として人気が高いシンガポール。


次回は、「シンガポールの人気エリアとエリアごとの特徴」をご紹介する予定です。


次回もお付き合いください!



▶次回の記事:シンガポール不動産人気エリアマップ