2021/12/07
マレーシアの大手複合企業サイム・ダービー傘下のサイム・ダービー・プロパティ社は、持ち家キャンペーン(HOC)が延長なしで2021年12月31日に終了すると見込んで、来年第1四半期の不動産需要は控え目になると予想しています。
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しかし、グループのマネージングダイレクター、アズミール・メリカン氏は、その後市場は徐々に改善してくると考えています。
「HOCは大変役に立ちました。(しかし)来年はもうHOCはありません。長期にわたって、サイム・ダービー・プロパティについては楽観的な見方をしています。新しい工業不動産商品もあり、かなり健全です。土地付き住宅の需要も引き続き堅調でしょう。発売と複合開発商品の企画をしながら、市場の状態を評価し、当社のタウンシッププロジェクトを適切な場所と価格に落ち着かせる必要があります。」と説明しています。
サイム・ダービー・プロパティは、2021年第4四半期に1,856戸(総開発費16億リンギット(約428億円))を発売予定です。
その過半数にあたる57.8%は土地付き住宅物件(9.21億リンギット(約246億円))、続いて25.8%が工業不動産(4.11億リンギット(約110億円))、13.9%が高層レジデンシャル(2.22億リンギット(約59億円))となっています。
2021会計年度に発売したプロジェクトの総額は39億リンギット(約1,043億円)でした。
アズミール氏は、通年の販売目標24億リンギット(約642億円)を達成できると期待しています。
サイム・ダービー・プロパティは、第3四半期終了時点で、販売目標の80%である19億リンギット(約508億円)を達成しています。
アズミール氏は、HOCの終了に低金利環境も加わって、12月の取引量は増加すると予測しています。
「販売目標を達成し、オンライン販売を実施するにあたってデジタル能力があることに非常に自信を持っています。お客様は当社の商品をよくご存じなので、(オンラインでの)取引を簡単だと感じてくださるでしょう。」と2021年9月30日で終了した、同社の第3四半期の決算発表に関するオンライン会見で述べています。
サイム・ダービー・プロパティの2021年第3四半期の売上は、活動制限令が何度か実施されたことで不動産開発と販売が影響を受けて、2020年の5億9,263万リンギット(約158億円)から34.49%落ち込み3億8,824万リンギット(約104億円)となりました。
今四半期の収益は低いものの、純損失は大きく減り、1年前の3億5997万リンギット(約96億円)から1,580万リンギット(約4億円)となりました。合弁事業からの損失が減ったことが起因しました。
2021年9月30日で終了した9か月では、黒字に回復、純利益は6,472万リンギット(約17億円)でした(前年同期は4億5,024万リンギット(約120億円)の赤字)。
サイム・ダービー・プロパティは、財務ポジションの引き続き健全であると述べています。現金残高は6億1,890万リンギット(約166億円)で、平均ネットギアリング比率(*)は、第3四半期時点で32.1%でした。
(*)無形資産を控除した株主資本および負債の合計金額に対する現金および現金等価物を控除した後の総負債の比率
未請求の売上が21億リンギット(約562億円)あることから、同社は、収益見込みも上方修正しました。2018年以来初めて、20億リンギット(約535億円)を超えました。
アズミール氏は、経済および不動産市場が勢いを取り戻すにつれて、サイム・ダービー・プロパティの戦略をもってすれば、通年の財務・営業成績はプラスになると述べています。
サイム・ダービー・プロパティは、経常利益の多様化を含む、2021年度の会社の重点項目の達成に力を入れているということです。
長期的な不動産戦略については、よい立地の大規模な現代物流物件への需要、LOGOSプロパティ・グループとの新しい提携関係などを十分に活用していく方針です。
(出所:New Straists Times)
(画像:Photo by Sadie Teper on Unsplash )
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