2023/07/25
2023年6月、シンガポールの住宅販売が2022年12月以来の最低レベルを記録しました。十分な発売物件がなかったことに加えて、政府が実施した最近の投資過熱抑制策が購入希望者を抑えたことが背景だと見られています。
都市再開発庁(URA)のデータによると、6月の新規購入アパートメントは278戸と、前月の1,038戸を大幅に下回りました。この数値は、供給量が限定的で需要が落ちた2022年12月の170戸以来の最低値となりました。
今回の販売減をきっかけに、カナダから中国まで世界的に低迷する不動産市場に逆行し過熱していたシンガポールがついに落ち着き始めるのではないかと見られています。2021年12月、2022年9月、そして2023年4月に実施された不動産投資過熱抑制策を背景に、第2四半期の住宅価格は直近3年間で初めて下落しました。
6月の発売戸数はたった17戸でしたが、7月にはLentor Hills ResidencesやThe Mystといった大型物件の発売があるため、アナリストらは7月の新築住宅販売は上向くと予想しています。政府によると、今年末までに公営住宅が約20,000、民間住宅は19,000戸が完成予定で、2024年には公営・民間合わせて31,000戸が供給に加わる見込みです。
2023年4月、政府は外国人不動産購入者に対する印紙税を、主要市場では最高レベルとなるこれまでの2倍の60%に引き上げました。また、2軒目以降の購入にかかる印紙税も引き上げました。しかし、マイホーム購入を検討するシンガポール人・永住権保持者は大きな影響を受けていません。不動産サービス会社ナイト・フランク・シンガポールは、マイホーム購入希望で資金もある現地バイヤーは、今後も活発な動きを見せるだろうと述べています。今後供給が増えることで、価格も抑制されるでしょう。シンガポールの住宅価格は、上半期2.9%上昇しましたが、下半期は2%以下の上昇率に留まり、通年では5%程度の見通しです。
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(出所:Bloomberg)
(画像:UnsplashのKenneth Kohが撮影した写真)
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