[フィリピン] 世界銀行、フィリピンの成長見通しを据え置き

2024/02/06


世界銀行は、2023年と2024年のフィリピンの成長率予測を据え置きました。フィリピンはアセアン近隣諸国の成長率を上回る予想です。



ワシントンに本部を置く世界銀行の世界経済見通しによると、フィリピンの2023年の経済成長率は5.6%でした。今年と来年の成長率を5.8%と見ています。



この予想は、フィリピン政府が掲げる成長率目標は、2023年に6〜7%、2024年に6.5〜7.5%、中期的には6.5〜8%を下回っています。



しかし、世界銀行の最近の報告書によれば、フィリピンはアセアン地域で最も経済成長率の高い国のひとつとなります。



2023年の成長率を比較すると、カンボジアは5.4%、インドネシアは5%、ベトナムは4.7%、マレーシアは3.9%、ラオスは3.7%、タイは2.5%、ミャンマーは1%でした。



今年については、カンボジアはフィリピンと同じ5.8%、ベトナムは5.5%、インドネシアは4.9%、マレーシアは4.3%、ラオスは4.1%、タイは3.2%、ミャンマーは2%と予測されています。



2025年には、カンボジアとベトナムがフィリピンを上回り、それぞれ6.1%と6%の成長が予測されています。また、インドネシアは4.9%、ラオスは4.3%、マレーシアは4.2%、タイは3.1%と予測されており、ミャンマーについては数値が発表されていません。



昨年12月に発表された「フィリピン経済最新情報(Philippines Economic Update)」の中で、世界銀行は、フィリピン経済の拡大は健全な労働市場と安定した送金増加によって支えられており、家計消費は引き続き堅調であると述べています。



しかし、世界銀行は、成長見通しは下振れリスクにさらされていると述べています。予想を上回る世界的なインフレの脅威、地政学的緊張の激化、世界的な資金調達条件のタイト化により、世界的に活動が鈍化し、金融ストレスのリスクが高まる可能性があると指摘しています。



総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンは、家計消費はフィリピン経済の主要な原動力であるとして、その重要性を強調しています。個人消費はフィリピンの年間経済生産高の70%以上を占め、海外フィリピン人からの健全な送金流入は国内消費の維持に役立ち、ホテルや小売部門に活気を与えていると言います。フィリピン人の購買力の成長可能性を期待して、小売業者はフィリピンに拠点を構え、ショッピングモールのスペースを占有しようとしています。ホテル・デベロッパーも、国内外からの旅行者の継続的な増加を見込んで、事業拡大を続けています。しかし、コリアーズは、リベンジ消費とリベンジ・ダイニングの影響は、フィリピン全土のインフレ率の高止まりによって抑えられた状態にあると指摘しています。




(出所:Malaya, Colliers

(画像:UnsplashのBen Binが撮影した写真)