2020/08/25
[フィリピン]アナリスト:中央銀行まもなく金融政策緩和を再開
フィリピン中央銀行(BSP)は、一旦政策金利の引き下げを止めましたが、また今後数か月で金融政策の緩和を再開するとみられています。
このような予測を示しているのは、ロンドンを拠点とするリサーチコンサルタント会社キャピタル・エコノミクス、地元の金融機関リサール商業銀行、オーストラリアを拠点とするANZリサーチのアナリストたちです。
これらの見方が明らかになったのは、中央銀行が2020年8月20日に翌日物の借入金利を2.25%、貸出金利を2.75%、預金金利を1.75%に据え置くことを発表した後のことです。
キャピタル・エコノミクスのアジア担当エコノミスト、アレックス・ホームズ氏は、経済の見通しが非常に弱いことを考えると、利下げを先延ばしにしたことは慎重とは言えないと述べました。
キャピタル・エコノミクスは、フィリピンのGDPが今年前半で9%後退したのち、通期では8%近く落ち込むのではないかと予想しています。
「成長の先行きが暗いこととインフレ環境の見通しが明るいことを考えると、さらなる金融政策に踏み切ることは明らかだ」とホームズ氏は述べました。キャピタル・エコノミクスは、10月までにさらに50ベーシスポイントの利下げを予想しています。
リサール商業銀行のチーフエコノミスト、マイケル・リカフォート氏は、実質インフレ率以下に留まっている以上は、さらなる利下げは基本的に難しいだろうと述べています。
しかし、リカフォート氏は、さらなる政策緩和、特に銀行の預金準備率のさらなる引き下げは可能性としてあるうることを強調しています。
銀行が借り手に融資できる金額に対して、中央銀行預けなければならない当座預金の比率を表わす預金準備率は、現在12%に設定されています。
リカフォート氏はまた、「今の経済には得られる支援策はすべて得たい状態です。新型コロナウィルス(Covid-19)が経済に与えた悪影響によるところが大部分ですが、さらなる景気刺激策のための追加資金がない中、景気回復の見通しを改善させるためにはより一層金融政策緩和の可能性が高まっています。」と話しています。
ANZリサーチのエコノミストは、中央銀行によるさらなる金融緩和は必要であると述べています。
しかし、資金に限りがあることを考えると、さらなる金融政策は預金準備率という形をとることになるとして、今年残りの期間で追加の200ベーシスポイントの準備率引き下げがありえると述べています。
これらのエコノミストの見方は一貫して、中央銀行がインフレなき持続可能な成長を中期的に進めていくために必要なあらゆる道具を使ってくるだろうということです。
これらの見方に反するのが、ING銀行マニラのシニア・エコノミスト、ニコラス・アントニオ・マパ氏です。マパ氏は、金融当局は今年は追加の利下げをすることを避け、経済成長を急発進させるためのBSPの様々な動きを補完するための財政刺激策に頼るだろうと考えています。
「景気が後退局面にあり、BSPの景気促進のための方策が底尽きてきている中、財政当局は、今後の四半期に2桁のマイナス成長が出ないように、支出を前倒ししてくるでしょう。」と述べています。
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(出所:Manila Times)
(トップ画像:nappy from Pexels )
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