2021/06/08
[フィリピン] 中央銀行2021年の残りの期間も金利据え置きか
フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas (BSP))は、Covid-19パンデミックに端を発した不況の中、景気回復が思うように進んでいませんが、今年の残りの期間についても主要金利を据え置くと見られています。
シティのフィリピン担当エコノミスト、ナリン・チュッチョーティタム氏は、BSPの翌日物借入金利について、デマンドプル型インフレが低水準にとどまったとしても、遅くとも、来年初めまで2%で維持されると予測しています。
最近のリサーチで、シティは景気回復を支援するために、BSPが供給サイドのリスクを見ていくと予想しています。「金融システムに十分な流動性があるので、BSPがさらに政策金利を下げるとは考え難い」とチュッチョーテイタム氏は述べています。
同氏は、国内の貸付高は、2021年3月、3か月連続で前年割れ(-4.5%)している一方で、国内の流動性は高まり、前年同期比8.3%増となっていることを上げています。リサーチでは、BSPは、民間セクターの信頼感にやや懸念が残るものの、財政政策、ワクチン接種、世界経済の回復などに支えられた景気回復について楽観的な見方をしている、と述べられています。
BSPの上限4%に対して、国内のインフレ率は4.5%となっていますが、チュッチョーテイタム氏は、食料品のインフレ率は、肉を除いては加速しておらず、コアインフレ率の軟化につながるだろうと予測しています。
BSPは、主に豚肉の関税引き下げを考慮して、2021年のインフレ率予測を4.2%から3.9%に下方修正しています。シティは、今年の予測については4.2%を維持、2022年は2.5%としています。
「アフリカ豚熱が続くので、肉の供給不足はしばらく残ると見ています。一方で、エネルギー価格にはアップサイドリスクがあります。」
シティはまた、国内総生産(GDP)予測を今年は4.9%、来年6.8%に据え置いています。これは、2020年、国内経済が9.5%縮小したことによりベースが非常に低くなっていることを考慮しています。9.5%マイナスは、過去最も急速な落ち込みとなりました。第1四半期のGDP成長率は期待通りではありませんでしたが、シティは、依然高いレベルにあるものの5月のCovid-19新規感染者数が減ってきたことで、マニラのロックダウンが思ったよりも早く緩和されたことを指摘しています。
2021年第1四半期のGDPは-4.2%となり、5四半期連続で縮小しました。
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リサーチではさらに、マニラ首都圏+4州が3月の終わりに厳しい隔離措置を行ったことで、首都と周辺エリアの経済活動に影響を与えた、とも述べています。
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一方で、シティは、事業の再開を促進し、ワクチン接種を加速させることで、第2四半期後半と2021年後半期の経済活動を改善させるのにつながっていくだろうと述べています。
シティは、メトロマニラが6月中ずっと厳しい隔離措置を行うと予想していました。しかし、ロックダウンは5月中旬に緩和され、これにより隔離措置は2021年の初めのレベルに近いものに戻りました。現在、20%の屋内飲食が認められていますが、ほとんどのエンターテイメント施設は引き続き休業しています。「ワクチン接種の進み具合は比較的ゆっくりですが、新規発注分が到着すれば加速していくでしょう。」とリサーチでは述べられています。
(出所:Business Inquirer)
(画像:Photo by Sam Moqadam on Unsplash)
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