[タイ] 投資目的のバイヤーがコンド市場に再注目

2020/05/04

[タイ] 投資目的のバイヤーがコンド市場に再注目


不動産コンサルタントナイト・フランク・タイランドは、新型コロナウィルスの流行が落ち着いてくるにつれ、今後2年間は、コンドミニアム投資を目的とするバイヤーが、引渡し可能な物件を割引価格で購入したり、将来的な値上がりを期待して投機的な投資をしたりして、市場を支配するのではと見ています。


昨年、LTV(Loan to Value:不動産価格に対する借入金の割合)上限変更があって以来、投資家の影が薄れていましたが、トップデベロッパーが行っている大幅割引が、多くの投資目的のバイヤーを呼び戻しているようです。コンド市場が底を打つ今が買い時と考えているようだ、とナイト・フランク・タイランドのリサーチ&コンサルティングダイレクターのリシニー・サリカプトラ氏は話しています。


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例えば、ラチャダーピセー通りのユニットは、420万バーツ(約1,390万円)で売られていたものが、現在は42%割引の260万バーツ(約863万円)で販売されています。


■デベロッパー各社の割引キャンペーン

今月、サンシリ(Sansiri)、アナンダ・デベロップメント(Ananda Development)、ノーブル・デベロップメント(Noble Development)やメジャー・デベロップメント(Major Development)などのトップデベロッパーは、コンドミニアム在庫を掃出し、経済見通しが悪化する前にキャッシュを手に入れておこうと、大幅な割引を実施しています。


リシニー氏によると、実際に大幅割引されているユニットは限定的で、顧客をサイトに呼び込むための戦術です。しかし、大幅割引ユニットがすでに売約済みとなっていても、デベロッパーは他の顧客に対しても割引価格で販売しているようです。


また、リシニー氏は、このようなバイヤーの半数は投資目的だと言います。市場がパニック状態の際に手持ちのコンドを売り、その資金を使ってコンドを購入した者もいます。


一方で、借入をして購入した者もいます。というのも、住宅ローンの分割払い金の最初の2年間はデベロッパー側が支払うというキャンペーンを行っているデベロッパーもあるからです。「多くのバイヤーが賃貸から購入に移行しました。キャンペーンにより、住宅ローンの分割払いの心配がなくなったからです。」


デベロッパー各社がこのようなキャンペーンを打っている背景には、直接割引を行った場合の、販売開始当初の価格が高い時期に購入した顧客の心証を損なう可能性があります。


現在打ち出されている割引には、共有エリア費用、修繕積立金、水道・電気メーター費用、移転費用などといった、引渡し日にかかるすべての費用の免除も含まれています。


融資の分割払い金24か月免除キャンペーンは、金銭的に不安定なバイヤーにとっては都合がよいかもしれません。一方で、投資目的のバイヤーは、経済スランプが2022年まで続くという予想にかけています。このような時期は、ユニットを賃貸して儲けるか、ウィルスの流行が終息する、あるいは経済が回復するまで持っておくかです。リシニー氏は、投資家は2年ほど待って、それから転売してキャピタルゲインで稼ぐことができるだろうと言います。


現在、最も売れているのは、平米あたり80,000~90,000バーツ(約26万円~30万円)の価格帯のユニットで、続いて平米あたり90,000~150,000バーツ(約30万円~50万円)の価格帯となっています。


不動産コンサルタント、コリアーズ・インターナショナル・タイランドのリサーチ部門のアソシエート・ダイレクター、パッタラチャイ・タウィーウォン氏は、5月~6月の間はさらなる割引があるだろうと考えています。


「今まで見た中でも最も高い割引率は62%です。一年ほど前から引きずってい売れ残り在庫を抱えてプロジェクトを終了することになりえたわけですから、価格キャンペーンは成功だったといえるでしょう。」


また、売れ残り在庫を売却することで、経済の先行きが不透明な中、キャッシュを手に入れることができます。


パッタラチャイ氏によると、デベロッパーの中には第1四半期の販売目標、引渡し目標を大幅達成した会社もあったようです。


■バンコク首都圏不動産価格インデックスの推移

不動産情報センター(Real Estate Information Center (REIC))によると、2020年第1四半期のバンコク首都圏のコンド価格インデックスは、2012年の調査開始以来初めて下がり、2019年第4四半期の153.8から0.3%減の153.4となりました。

▼バンコク首都圏不動産価格インデックス(赤色:コンド、黄色:タウンハウス、青色:一戸建て)
(出所:Bangkok Post)

前年比ベースでは、2019年の第1四半期の149.3から2.7%増でしたが、デベロッパー各社が割引を行ったため、上昇率としては最低レベルだったと、REICウィチャイ・ウィラットカパン局長代理は述べています。


REICが調査した150プロジェクトうち約42%が、引渡し可能状態のコンドミニアム、またはバイヤーが引渡しを拒否した/住宅ローンが却下されたユニットに対して、10~36.2%の割引をしていました。


バンコク首都圏の一戸建て住宅およびタウンハウスの2020年第1四半期の価格インデックスは上昇し、一戸建ては126.7(2019年第4四半期125.8)、タウンハウスは130.3(2019年第4四半期125.9)となりました。

(出所:Bangkok Post

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(トップ画像:Photo by billow 926 on Unsplash )