フィリピンの不動産価格推移は?わかりやすくポイントを解説した!

2024/09/12

監修: 不動産のエキスパート 風戸裕樹


「コロナ後のフィリピンの不動産市況はどうなってる?」

「不動産購入にあたってビザや制限はあるの?」



新型コロナウイルス感染症の流行は落ち着いてきましたが、ウクライナやパレスチナの情勢を含め、世界的な緊張は続いています。


そんな中、海外不動産投資を検討するにあたって、候補の投資先の市況は気になるものですね。


今回のブログでは、コロナ以降のフィリピンの最新の不動産市況と、購入する際に知っておくべきポイントをまとめました。


最後まで読むことで、フィリピンの不動産価格の推移が、コロナや最近の情勢を受けてどうなっているかを知ることができます。


また、購入する際に知っておきたい規制やビザの要件についても理解することができますよ。


フィリピン不動産投資に興味をお持ちの方、フィリピン不動産の価格の動きを知りたい方は、是非参考にしてください。




フィリピンの不動産市況


フィリピンの住宅市場は、2020年、世界的に新型コロナウイルス感染症が広がりを見せた中でも急成長を見せました。


その後、長引くコロナの影響で落ち込みますが、2021年後半から再び回復の兆しを見せています。



フィリピンの不動産価格推移(経年比較)


フィリピンは、2010年から2018年にかけて住宅価格のブームを迎えました。


マカティCBDの住宅価格は、強い需要と急速な経済成長に後押しされて132%以上(インフレ調整後は76%)上昇しました。


しかし、国内経済の減速、そして米中貿易戦争にともなって、住宅価格は2019年にやや減速しました。


2020年に入り、新型コロナウイルス感染症が広がりを見せたにもかかわらず、住宅市場は急速な立ち直りを見せ、マニラ首都圏では対前年同期比で27.1%増を記録しました。


その後、長引くコロナの影響で価格は急落しましたが、2021年後半から再び回復の兆しを見せています。


ハイエンドプロジェクトが特に貢献しています。



▼レジデンシャル不動産価格インデックス対前年同期増減率(出所:フィリピン中央銀行を元にProperty Access作成)




以下は、マニラ首都圏全体のコンドミニアムユニット価格インデックスです。こちらでも、コロナの影響が見られますが、再浮上してきていることが読み取れます。


▼マニラ首都圏のコンドミニアムユニット価格インデックス(出所:フィリピン中央銀行を元にProperty Access作成)




フィリピンの不動産価格推移(各国比較)


前述の通り、住宅価格ブームを迎えた2010年~2018年、フィリピンの不動産価格は、対前年で10~15%ほどと、他国と比較してもかなり高い増減率を記録しました。


2020年後半は、長引くコロナの影響から落ち込みましたが、2021年後半からは回復を見せています。



▼各国の不動産価格(インデックス)対前年増減率の推移(出所:Global Property Guide

フィリピンマレーシア
タイ日本



フィリピンの不動産価格変化を見るために押さえておくべき過去の規制


フィリピン不動産関連の、近年の大きな規制の変化と言えば、2020年1月に行われたREIT法の施行規則(IRR)の改正があります。


REIT法が定めるREIT上場1年目の最低浮動株比率(*)40%、3年以内に67%という要件がありましたが、改正IRRではこれを33%までに引き下げています。


ただし、REITによる収益を1年以内に国内の不動産またはインフラに再投資することを求めるとしています。

*一般投資家などが売買可能な市場流通性の高い株式数の全発行株式数に占める比率の下限


フィリピン内国歳入庁(BIR)は、改正IRRに合わせて歳入規則(RR)を改正、REITを付加価値税(VAT)の免除対象としました。


また、最低浮動株比率を3年目に67%にするまで、配当控除にかかる法人税相当額をエスクローとして留保する要件が撤廃されました。


REIT上場基準の緩和措置により、不動産市場への資金流入や各社の資金調達力の向上が期待されています。



 ◆この章のポイント

  • ・フィリピンの不動産は、2010年から2018年がブーム期、対前年価格上昇率10~15%を維持しました。

  • ・2019年は国内経済の減速と米中貿易戦争を背景に低迷しましたが、2020年第2四半期コロナ禍にもかかわらず急激な上昇を見せました。

  • ・長引くコロナの影響で急速に落ち込みますが、2021年後半から回復が見られます。

  • ・2020年1月のREIT法施行規則改正により、REITの上場規則が緩和され、今後REITの活性化が期待されています。




日本人がフィリピンの不動産を購入する上で知っておきたいこと


東南アジア諸国の中には、外国人の不動産所有に様々な制限をかけている国があります


フィリピンでは土地は所有できませんが、コンドミニアムやタウンハウスの所有は可能です。


またコンドミニアムでは、1プロジェクト内に外国人が保有できる割合が決まっています。




そもそも所有することができるのか


フィリピンでは、外国人名義で土地付き一戸建てを購入することはできません。


しかし、コンドミニアムや区分所有権付きのタウンハウスは、外国人が本人名義で購入および登記可能です。



外国人がフィリピンの不動産を購入する際の規制


・土地


フィリピンでは、外国人が土地や戸建て住宅を所有できません。


外国人による土地の所有が認められていないうえに、戸建て住宅は登記簿において土地と同一に扱われるためです。


配偶者がフィリピン人であれば、配偶者の名義で購入することはできます。



・タウンハウス


区分所有権付きのタウンハウスは、外国人による本人名義での登記が可能です。


ただし、タウンハウスは、物件数が少ない上に都市部の好立地には建てられないため、投資用に購入されることは少ないです。



ちなみに、フィリピンでは、外国人が購入する不動産に価格の規制はありません


外国人は、高級コンドミニアムに限らずローカル向けの低価格物件も購入できます。



・コンドミニアム


コンドミニアムは、日本で言うところの分譲マンションです。


外国人は、集合住宅の一部屋を区分登記して所有できます。


フィリピンのコンドミニアムは、高層でプール付きがほとんどで、24時間体制のセキュリティも整っています。



ただし、外国人が所有できるのは、例えば全100戸の物件であれば40戸までなど、1棟あたり4割の戸数までに制限されています




ビザは必要かどうか


外国人がフィリピンでコンドミニアムを購入する場合、基本的にビザは不要です。


入国管理局の指導により、一部のコンドミニアムでは、長期滞在ビザのない外国人旅行者は契約できないこともあります。


契約に進む前に、確認しておくと良いでしょう。




どのデベロッパーが信頼できるか


どこの国でも共通して言えることですが、信頼できるデベロッパーを見極めるときのポイントがいくつかあります。


1.実績はあるか?

  ・過去のプロジェクトは何件くらいあるか?ちゃんと完成させているか?

  ・会社のオーナーがウェブサイトに明記されているか?

2.ちゃんとしたウェブサイトを持っているか?フェースブックだけだったりしないか?

3.クライアントや購入者のレビューはどうか?


フィリピンにおける歴史が長く、実績を積み上げてきたデベロッパーには以下のようなものがあります。


Ayala Land(アヤラランド)

2023年連結純利益:1,489億ペソ


フィリピン最大手のデベロッパーの一つで、本社はマニラ首都圏マカティにあります。


100年以上の歴史を持つアヤラコーポレーションの不動産部門で、1988年から完全に独立した会社として創業しています。


ショッピングセンター、ホテル、リゾートの建設、管理はもちろん、コンドミニアムおよび住宅プロジェクトを中心としたレジデンシャルの建設も行っています。



Megaworld Corporation(メガワールド・コーポレーション)

2023年連結純利益:697億ペソ


本社はタギッグシティにあり、年間収益の規模ではフィリピン最大級です。


1994年設立で、ホテルやリゾートを主に手掛ける子会社Global-Estate Resortsを持っています。


コンドミニアムおよび多くの商業ビル(特にオフィス)の開発実績があります。



SM Prime Holdings(SMプライム・ホールディングス)

2023年連結純利益:657億ペソ


SMプライム・ホールディングスもまた、年間収益でフィリピン最大手です。


1958年設立で、フィリピン国内だけでなく、中国や太平洋諸島などでのショッピングモールの開発・経営を主に行っています。


レジデンシャル開発を専門に行う子会社SMDCがあります。



DMCI Homes(DMCIホームズ)

2023年連結純利益(DMCIホールディングス):1,228億ペソ


DMCIホールディングスの子会社 DMCIホームズもまた、フィリピン最大手のデベロッパーの一つです。


1994年設立で、本社はマニラにあります。


メトロマニラ内のアフォーダブルなコンドミニアム建設で知られていますが、レジデンシャルコンプレックス、ホテル、リゾート、ショッピングセンター、カジノ、病院、高速道路なども手掛けています。



Robinsons Land(ロビンソンズ・ランド)

2023年連結純利益:420億ペソ


1980年設立のロビンソンズランドは、フィリピン最大手のコングロマリットJGサミット・ホールディングスの不動産部門です。


ショッピングモール、ホテル、オフィス、リゾート、コンドミニアム、タウンシップなどをさまざまなタイプの不動産を手掛けています。



Federal Land(フェデラルランド)

2023年連結純利益(GTキャピタル):3,067億ペソ


フィリピンの大手財閥GTキャピタル・ホールディングスの傘下で、銀行大手のメトロバンクのグループ会社です。


1972年にフェデラル・ホームズとして不動産業を始め、現在のフェデラルランドへと成長しました。


コンドミニアム、タウンシップ、オフィスビル、リゾート、その他商業・レジャー不動産を扱っています。



Fillinvest Land(フィルインベスト・ランド)

2023年収益:225億ペソ


フィルインベスト・ランドは、フィルインベスト・デベロップメント・コーポレーションの子会社です。


フィルインベスト・デベロップメントは1955年設立で、フィリピンでも最も古くから存在する不動産デベロッパーの一つです。


レジデンシャル、レジャー、オフィス、商業ビルなどあらゆるタイプの不動産開発を行っています。



  •  ◆この章のポイント

    ・フィリピンでは外国人は土地を所有できません。コンドミニアムやタウンハウスは所有可能ですが、外国人の保有比率は1プロジェクトあたり4割となっています。

  • ・購入できる物件に金額の条件はありません。ビザがなくても購入可能です。

  • ・実績のあるデベロッパーを選ぶことで、起こりうるリスクを減らしましょう。




フィリピンの物件の購入方法


フィリピンで外国人が購入する不動産は、プレビルドのコンドミニアムが一般的です。


不動産の購入には、物件価格以外に印紙税、公証費用、地方譲渡税などの諸費用もかかります


エリアの選定や送金時の為替にも注意が必要です。




購入するフィリピンの不動産の特徴


フィリピンで外国人が購入する不動産として一般的なのはコンドミニアムです。


コンドミニアムを購入する方法としては、プレビルドがメインとなります。


プレビルドとは、コンドミニアムを企画段階で購入契約することです。


フィリピンだけでなく、新興国では一般的な販売方法です。



プレビルドの物件は、計画から完成まで数年かかり、その間は購入するタイミングによって値段が変わります。


計画段階から工事が進むにつれて値段が上がり、竣工時は計画時に比べて数10%ほど販売価格が高くなることがあります


一方で、しっかりとデベロッパーやプロジェクトを選ばないと、建設工事がとん挫し、物件が完成しないリスクもはらんでいます




購入にかかる諸費用


フィリピンで不動産を購入するにあたって、物件価格以外で必要な諸費用には以下のようなものがあります。


売り手負担になっている費用が多いですが、最終的に購入した物件を売却することにした場合にはかかってくる費用ですので、全体としてとらえておく必要があります。



諸費用

物件価格または公正価値のいずれか高い方に対する割合負担者  
印紙税

約1.5%買い手
公証費用

1~2%買い手
地方譲渡税

地方では物件の0.50%、マニラ首都圏の市および自治体では  
物件の0.75%       
買い手  
登記費用

1% (価格または評価額に対して累進的に課税)      買い手  
キャピタルゲイン税  
  
6.00%売り手
不動産エージェント税 

3~5%売り手



上記以外に、日本語での対応や購入サポートを日本の会社に依頼する場合、アドバイザリー手数料やコンサルティング手数料として、一般的に7%ほどが発生します。




購入するために使えるローン


フィリピンで物件を購入する際には、予約金、手付金、残金の支払いが発生します。


支払った予約金は、物件購入価格の一部とみなされます。


手付金は、物件価格の10%~30%くらいです。



手付金の分割払いには、先日付小切手(Postdated Check)と呼ばれる小切手を発行して支払うことが一般的です。


残金の支払には、ローンが利用できます。


残金の支払にローンを利用するときには、①日本の銀行を使う方法、②フィリピンの銀行を使う方法と、③デベロッパーの自社融資(デベロッパーによる)を利用する方法があります。



金利の目安として、日本に支店のあるフィリピン・ナショナル・バンクの住宅ローンは本記事執筆時点で6.65%となっています。


ローンについては、以下の記事でも詳しく説明しています。


▶あわせて読む

フィリピン不動産投資のローンの条件や手続きをわかりやすく解説!




そのほか日本人が気を付けるべきポイント


・エリア選定


コロナをきっかけに、生活必需品が手に入りやすい、医療や学校などの必要なサービスが近い、といった理由で複合用途開発への関心が高まっています。



また、フィリピン政府は現在大規模なインフラプロジェクトを推進中です。


公共交通機関や道路が整っているか、または今後そのような計画があるか、洪水の心配はないかなども調査してみましょう。



物件の賃貸を考えている場合には、エリアの賃貸需要・空室率、同等物件の販売価格・平均賃料、ターゲットとなる入居者や、そのような入居者が集まりそうな根拠を調べておきましょう。



・為替


海外から購入する場合は、予約金に相当する金額をフィリピンに送金しなくてはなりません。


銀行通貨の異なる高額の送金を行う場合は、為替レートが大きく影響してくることに注意しましょう。




賃貸や売却といった出口戦略


フィリピン不動産投資では、①値上がりしたところで販売することでキャピタルゲインを得る方法または②賃貸してインカムゲインを得る方法があります。


いずれも、それぞれの出口戦略に合ったエリアや内容のプロジェクトを選定することが大切です。


加えてキャピタルゲインを狙うには、売却のタイミングの見極めが、インカムゲインを狙うには、ターゲットとする入居者のニーズにマッチするような賃料設定/内装・仕上げが肝心です。



 ◆この章のポイント

  • ・フィリピン不動産で一般的なのは、プレビルドのコンドミニアムです。売却/賃貸の出口戦略を描いて、デベロッパー、エリアの選定をしっかり行いましょう。

  • ・物件価格以外に購入の際には、物件価格の5%ほどかかります。日本語のサポートを受ける場合には、別途アドバイザリー/コンサルティング料が発生します。




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まとめ


フィリピンの不動産市場は、2010年から2018年がブーム期、2019年は国内経済の減速と米中貿易戦争、2020年後半からは長引くコロナの影響で減速しましたが、回復の兆しを見せています


2020年1月のREIT法施行規則改正により、REITの上場規則が緩和され、今後REITの活性化も期待されています。



フィリピンでは外国人は土地を所有できませんが、コンドミニアムやタウンハウスは所有可能です。


外国人の保有比率は1プロジェクトあたりで決まっています。


購入できる物件に金額の条件はなく、ビザがなくても購入可能なので、エントリーしやすいでしょう。



フィリピン不動産で一般的なのは、プレビルドのコンドミニアムです。


起こりうるリスクを最小限に抑えるべく、売却/賃貸の出口戦略を描いて、実績あるデベロッパー、エリアの選定をしっかり行いましょう



物件価格以外に、購入の際には物件価格の5%ほどの諸費用がかかります。


日本語のサポートを受ける場合には、別途アドバイザリー/コンサルティング料が発生します



フィリピン不動産を取り扱う会社は国内外を見ても数多くあります。


どの企業に依頼をするのか、決め手となるのは豊富な経験と厳選された取り扱い物件、そして現地パートナーとの優良なコネクションです。


Property Accessはフィリピン不動産取引に精通したセールスチームが特徴です。


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最後までお読みいただき、ありがとうございました。



(*)弊社ニュースリリースより
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