[ベトナム] ベトナム不動産市場に投資を続けるシンガポールデベロッパー

シンガポールの不動産デベロッパーは、ベトナムの全体的に健全な経済成長とミドルクラスの新興を背景に、ベトナムでの投資を継続しています。

[ベトナム] ベトナム不動産市場に投資を続けるシンガポールデベロッパー


シンガポールの不動産デベロッパーは、ベトナムの全体的に健全な経済成長とミドルクラスの新興を背景に、ベトナムでの投資を継続しています。


2020年1月~7月で、シンガポールは、ベトナムにおける投資額トップを維持、総投資額は64.4億ドル(約6,862億円)を超えました。これは、ベトナムにおける外国投資額の34.1%を占めます。


シンガポールのデベロッパー各社は、過去20年にわたってベトナムの不動産市場をリードしてきました。キャピタランド、ケッペルランド、シティーデベロップメント、グオコランド、メープルツリー、クストホーム、センブコープ、アセンダスと言った企業が手掛けた数々の大規模不動産プロジェクトがそれを物語っています。


メープルツリーもまたその1社です。2020年3月31日時点で、メープルツリーは、オフィス、リテール、物流、工業、データセンター、レジデンシャル、宿泊施設、あわせて605億シンガポールドル(約47億円)を所有、管理しています。現在までに、ハノイ、ホーチミンシティ―、ビンズオン省、バクニン省などの資産に加えて8つの倉庫資産も保有し、ベトナムにおけるメープルツリーの投資額は10億シンガポールドル(約778億円)を超えています。


▶メープルツリーのベトナムにおける物件関連情報は「こちら
※イベント自体は終了しています


一方で、キャピタランドは、ベトナムでの不動産開発を過去約25年にわたってリードしてきました。現在、キャピタランドのベトナムにおけるレジデンシャルポートフォリオは、ハノイとホーチミンシティに15件のレジデンシャル開発を行い、8,600戸の高品質な住戸を提供しています。キャピタランドのベトナムにおけるポートフォリオの拡大は、今後もキャピタランドの宿泊施設ビジネスユニット、「ザ・アスコット」を中心に続く予定です。アスコットは、ベトナムに宿泊施設27軒、7,000室近くを保有しています。


2019年、キャピタランドは、テマセックとの取引を完了し、アセンダス社とシンブリッジ社の発行済み株式すべてを取得し、アジア最大の多角的な不動産グループのひとつとなりました。管理下にある資産は1,230億シンガポールドル(約9.6兆円)を超えます。


フレイザー・プロパティ―・ベトナムのリム・フア・ティオンCEOは、Vietnam Investment Review紙に対して、ベトナムの健全で比較的安定した経済ファンダメンタルズのおかげで、国の不動産市場も健全な成長を続け、投資家、特に海外からの投資家にとって魅力的な状態を保っていると語っています。ティオン氏によると、不動産は登録ベースで常に外国直接投資(FDI)のトップ2に入るセクターであり、評判の良いデベロッパーが次々に不動産市場に参入し、ベトナムを主要な開発地域として認識していると言います。


「もちろん、パンデミックは商業およびホスピタリティに影響を与えました。しかし、他の業界と比べると回復は早いと見ています。急速な都市化によりレジデンシャル市場は安定的で、堅調な経済ファンダメンタルズが工業不動産の需要を支えるでしょう。」とティオン氏はコメントしています。



■工業不動産投資にも積極的


レジデンシャルに加えて、シンガポールはベトナムにおける工業不動産開発への投資額もトップから数えるほどです。


センブコープ・デベロップメントが率いるコンソーシアムが、国内のベカメックスIDCとともに、ベトナムにおける工業団地のネットワークを築いています。この合弁事業は、ベトナム-シンガポール工業団地(VSIP)と呼ばれ、ビンズオン省、バクニン省、ハイフォン省、クアンガイ省、ハイズオン省、ゲアン省に7つの工業団地を、また工業団地周辺エリアに5つの都市開発をオープンさせます。これまでに、この合弁事業が誘致した投資額は150億ドル(約1.6兆円)、テナント企業は30の国と地域から880社を超えています。


一方で、アセンダスは、国内パートナーであるプロトレード社とともに、南部のビンズオン省にアセンダス-プロトレード・シンガポールと呼ばれる500ヘクタールのハイテクパークを、またサイゴン・ハイテクパークには1.3億ドル(約139億円)のワンハブ・サイゴン開発を行っています。


今年、Covid-19の影響が世界中で見られるにもかかわらず、シンガポールから新たに市場参入した企業各社は、ベトナム市場に目をつけ、新しい投資計画を練っています。


シンガポール最大のコングロマリットのひとつ、テマセックを含む、KKRが率いるコンソーシアムは2020年6月、ビンホームズ社の少数持分を15.1兆ドン(約697億円)で取得しました。


▶ビンホームズの物件関連情報は「こちら
※イベント自体は終了しています


それ以前には、主要な不動産サービス事業者のひとつであり、シンガポールをリードする不動産仲介業を行うAPACリアルティが、2020年2月にERAベトナムの持分38%を150万ドル(約1.6億円)で取得、ベトナム市場への一歩を踏み出しています。


ERAベトナムは、ダナン、ビンズオン、ダラットなどの都市に仲介ネットワークを持っています。APACリアルティは、ERAベトナム向けに200万ドル(約2.1億円)相当の優遇金利も約束しています。


APACリアルティの会長兼CEOジャック・チュア氏は、ベトナムを東南アジアで第3の人口を誇るポテンシャルの高い国であると言います。「不動産市場は、特にホーチミンシティとハノイにおけるミドルクラスの拡大とともに、急激に成長するでしょう。」とコメントしています。


これ以外にも、サカエ・コーポレート・アドバイザリーが率いる、スルバナ・ジュロン、フィッション、セントラ・リアルティ・グループ、YCHグループを含むシンガポールのデベロッパーによるコンソーシアムも、ベトナムの都市計画および区画整理、その他プロジェクトに参加しています。



■ポテンシャルとリスク


過去10年、ベトナムにおける外国直接投資は年々増加を遂げてきました。今年はコロナの影響で、年初からその動きはやや緩やかになっています。しかし、パンデミックが封じ込めされれば、2020年末までには、資金の流入は再開されるとみられています。


ベトナム不動産市場は、政府が多国間自由貿易協定に関する通商政策を積極的に展開することで、多くの前向きな兆しを見せてきました。JLLベトナムの資本市場シニア・ディレクター、カイン・グェン氏は、この動きにより、さらなる外国の投資家を呼び込んでいると言います。


外国人にベトナムにおける住宅購入を許可する規制緩和もまた、市場のハイエンド物件の流動性を高めることにつながるとみられています。


ボストン・コンサルティング・グループによると、ベトナムの中流階級、上流階級は急速に成長しています。2020年末までには、3,300万人以上のベトナム人が、中流階級、上流階級に入り、人口全体の43%を占めるとみられています。


ベトナムの中流・上流階級の成長率は12.9%と言われ、域内でも最高レベルの成長率となっています。これは、不動産を含む高額資産の増加にとっては好ましい動きです。


一方で、ボストン・コンサルティング・グループは、ベトナム不動産について、新興市場ならではのリスクも明らかになっていると述べています。一番の不利益は法律の枠組みが同期していないことで、外国投資家にもバイヤーにも混乱を招いています。


市場の透明性に欠けることもまた課題です。JLLの2020年グローバル不動産透明性インデックスで、ベトナムは「不透明」から「透明性がある」カテゴリーにランクアップしましたが、今後さらなる改善が必要とされる分野です。


さらに、ボストン・コンサルティングによると、複雑な手続きと新プロジェクトの承認の遅さも課題だといいます。これにより新プロジェクトは大幅に遅延、外国の金融機関やバイヤーの参入を妨げる要因となっています。


▶ベトナムにおける2020年第2四半期の投資状況に関する記事は「こちら


(出所:Vietnam Investment Review

(トップ画像:Image by David Mark from Pixabay)