[マレーシア] ジョホール州に数千戸のサービスアパートメントとコンドミニアムが建設中

2024/02/15


ジョホール州では、今後数四半期わたって、数千戸の新築アパートメント、サービスアパートメント、コンドミニアムが発売される予定です。



不動産コンサルタント会社KGVインターナショナルのエグゼクティブ・ディレクターであるサミュエル・タン氏は、統計によると、今後数四半期で6万戸近くの高層住宅が市場に投入される見通しだと述べました。これらの開発の多くは、すでに計画や建築の承認が下りているということです。一方で、この数字には、市場環境の悪化により保留となったプロジェクトも含まれているということです。



2023年第3四半期(Q323)時点で、建設中または計画中のサービスアパートメントが約26,000戸、アパートメントが合計約31,000戸あります。



タン氏によると、発売予定のプロジェクトには、タマン・スリアの「パラゴン・ゲートウェイ」、テブラウ・ハイウェイに隣接する「One49」、旧ロイヤル・ジョホール・ゴルフ・カントリークラブの「レジデンシ・ラマン・ヒジャウ」、リド・ウォーターフロント・ブルーバードの「ウォーターマーク・レジデンス」、ジャラン・ワディ・ハナの「オアシス・レジデンス」などがあります。



ジョホールバルでは、以前は土地付き物件が主流で、既存供給量全体の約3分の2を占めていたが、過去10年間でその傾向が徐々に逆転しています。タン氏によると、今後の供給全体の3分の2は、高層住宅が占めるということです。



また、ジョホールバル-シンガポールRTSプロジェクトや、ジョホール-シンガポール経済特区(SEZ)計画、フォレストシティの金融特区(SFZ)化、KL-シンガポール高速鉄道(HSR)の復活の可能性などが発表され、市場のセンチメントが改善の兆しを見せていることを市場の上昇に反映しているようです。



特に、「ゲームチェンジャー」と謳われるRTSは、SEZとSFZとともに、ジョホールの風景を一変させると見られています。



RTSの工事の進捗は、現在50%超まで来ており、2027年初頭までに運転を開始する予定です。タン氏は、RTSが完成すれば、深圳ー香港と同じモデルがジョホールで実現することになると期待を寄せています。ジョホールバルとシンガポールの間の往来がスピーディーかつシームレスになります。タン氏は、あとは自宅からRTS駅までの「ラストマイル」の接続性を確保することが重要だとコメントしています。そのために、関係者は、パーク・アンド・ライドのコンセプトを実施するための計画を立てているということで、そのための建物や土地の特定が進んでいるということです。



「ジョホールバルとシンガポール間の移動は速くなるだけでなく、シームレスになる。取り組む必要があるのは、ラストワンマイルの接続性を確保することだ。



タン氏は、RTSプロジェクトの完成までに、補完するシステムとしてのイスカンダルBRT(バス高速輸送システム)の準備が整っている必要があると指摘しています。



「リンクが完成すれば、オフィスやモール、飲食店までもがその恩恵を受けることになります。生活費が安く、のんびりとした暮らしができるため、シンガポールからJBへの流入が期待されます」と語りました。



一方、タン氏は、Covid-19のロックダウンに続く需要の増加が、より多くのデベロッパーの立ち上げにつながっていると述べました。



最初の数年間は主に以前の在庫を一掃するために使われましたが、2023年にはより手頃な価格の新商品が投入されるようになったということです。



不動産需要の増加に寄与しているもう一つの要因は、国境の再開です。



2023年第3四半期、住宅不動産セクターは前年比でプラスとなり、取引量は前年比64.9%、取引額は936%の伸びを示しました。



2023年第3四半期に取引された物件数は23,624件、取引額は161億7,000万リンギット(約5,089億円)でした。対して、2022年第3四半期の取引数は、18,188件でした。2022年通年の年間取引件数・取引額と比較すると、2023年の1月~9月は取引件数は19%、取引額が16%の伸びを記録しています。



タン氏によると、ジョホール州の高層住宅に対する市場のセンチメントが良くなっているにもかかわらず、まだ多くの竣工ユニットが売れ残っています。正式発売から9か月が経過しても売れ残っている住戸を示す「オーバーハングユニット」が現在約16,000戸あると言います。



タン氏は、このような高層住宅の流入が止まらない場合、市場に過度のストレスを与える可能性があると述べました。一方で、土地付き住宅地には回復力があり、特に60万リンギット(約1,900万円)以内で人気のある立地の物件に高い需要があることを強調しました。



タン氏は、この問題に取り組むためには、デベロッパー各社は慎重に行動すべきで、当局は監視を続け、将来の供給が過剰で持続不可能になり始めたら、それに応じて行動する必要があると指摘しています。



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(出所:New Straits Times

(画像:UnsplashのAlfredが撮影した写真)