2024/12/19
2024年11月5日に選挙が行われたアメリカの大統領選挙。
結果はドナルド・トランプ氏が、見事大統領の座に返り咲くことになりました。
2025年1月20日には正式に大統領に就任して、第47代アメリカ大統領としての船出を迎えます。
「トランプ氏が新大統領になったけど、これから日本はどうなるの?」
「物件価格の上昇が続く日本の不動産市場だけど、いつまで上がり続けるの?」
このような疑問を持たれている方も多いでしょう。
この記事では、トランプ新大統領が誕生することで日本の不動産市場はどのような影響を受けるのか専門家がくわしく解説します。
今後の情勢はどうなっていくのか、5つのポイントに分けてデータを交えながら読み解いていきましょう。
最後まで読むことで、トランプ大統領就任後の世界の動向や、今後の日本の不動産市場の動向について把握できます。
日本の不動産の購入・売却を検討している方や、これからの不動産について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
トランプ新大統領の就任によって、日本の不動産市場はどのような影響を受けてどのような価格推移を見せるのでしょうか。
以下の5つのポイントを解説していきます。
①関税が上がることによる影響
②為替相場の乱高下による影響
③対中問題への対応による影響
④データから見る株式市場への影響
⑤避難国としての日本への影響
では、一つずつ見ていきましょう。
トランプ新大統領は、国を問わず全ての輸入品に10~20%の関税をかけると大統領選の途中から表明していました。
また、特別な措置として、中国からの輸入には60%の関税をかけると表明しています。
これらが、日本の不動産市場に与える影響について考察してみましょう。
まず、アメリカに製品を輸出する際にかかる関税が上がることによって、日本からアメリカへの輸出も減ることが見込まれています。
例えば、自動車産業を例に挙げて見てみましょう。
アメリカは、自動車輸出の中では中心的な役割を担っている国の1つです。
地域別金額シェアを見ると、日本から北米への輸出は約40%を占めています。(2020年度)
台数にして、なんと150万台もの車が1年間で北米に輸出され、金額にすると3.7兆円にもなります。
日本経済新聞ホームページより抜粋
また、日本から米国への年間自動車輸出台数は1980年代をピークに伸び悩んでいることが分かります。
そして、以下のグラフは中国と日本の自動車輸出台数の推移です。
山陽新聞の記事
グラフにもある通り、自動車輸出台数の推移を中国と日本で比較すると、急激に伸びている中国に日本は抜かされてしまったことが分かります。
これは輸出台数を単純に比較しているため、中国企業が力を入れるEV(電気自動車)も伸びている要因に入っています。
日本のEV産業は中国に比べて発展途上のため、今後も輸出台数の推移は離されていくことが予想されるでしょう。
ここまでの要点をまとめると、以下の3つがポイントになります。
・自動車輸出において北米の市場シェアが約40%を占めること
・日本から北米への自動車輸出が減っていること
・中国に比べ日本の自動車輸出台数の推移は減っていること
上記の現状を踏まえ、今後10~20%の関税がかかることは、まさに「泣きっ面に蜂」状態と言えるでしょう。
このように自動車含む主要産業への大きな影響が予想される中で、日本の景気が冷え込むことも予想されています。
日本にとってアメリカは、中国と並んで最大の輸出貿易相手国の1つです。
アメリカへの輸出が減ることによって、日本の不動産市場へも少なからず影響があります。
景気が冷え込むことによって、今まで不動産購入を検討していた国内の方が、検討を取りやめることも予想されています。
国内の不動産購入の検討者が減ることで、日本の住宅価格が下落することもシナリオとして考えられるでしょう。
次に為替相場が、不動産に与える影響についてです。
まず、トランプ大統領が前回大統領選に勝利した2016年11月からの為替相場を見てみましょう。
黒く囲んだところは2016年11月から前回の大統領としての任期が終了した2021年1月までのアメリカドルと円の推移になります。
このように、前回のトランプ大統領の任期中は100ドルから120ドルのレンジで推移していることが分かります。
意外にも2021年から急激に円安が進行しているのは、トランプ大統領の任期が終わってから1年が経過してからになります。
そこで、今回の再就任後に、円高もしくは円安に振れたケースと不動産市場への影響のシナリオを考えてみましょう。
実際、トランプ新大統領が繰り出す政策は政治のプロでも予測が難しいところがあります。
色々なパターンで考察することが未来を知る上では大切です。
まず、為替が円高に振れたケースについてです。
円高に振れると国内から海外への投資には良い点があるものの、海外から国内への投資は冷え込むことが予想されます。
不動産市場においては、東京・大阪・京都などの都市圏を中心に、外国人の富裕層の物件購入は年々増えている傾向があります。
弊社は2023年から国内不動産の売却事業も行っていますが、外国人富裕層からの問い合わせは増える一方です。
個人の外国人投資家のみならず事業として投資を行っている外国法人が現在の都市圏の下支えしている部分も少なからずあります。
外国人にニーズがあるような物件で国内の投資家には需要が無いような物件も時として、存在しています。
円高に振れることは外国人投資家からすると、物件の価格が相対的に見て上昇していることと同じです。
物件の価格が相対的に見て上昇しているため、投資を考える際の利回りが下落してしまうのです。
つまり円高になると、外国人投資家から国内不動産への買い控えが発生する恐れが生じます。
結果として、国内不動産の価格を下支えしていた外国人がいなくなることで、下落する可能性も考えられます。
国内の投資家としては、売却を検討するきっかけとなるかもしれません。
視野を広げてみると、海外の不動産を購入する際の物件価格が相対的に下落することに等しく、投資のチャンスが広がるでしょう。
一方で、円安に振れたケースです。
為替が円安に振れると、日本から海外からの輸出は増加が期待されます。
関税が上がる影響は少なからずありますが、円高と比べると輸出が増えることによる雇用の促進やGDPの向上が見込まれます。
そのような状況になると、国内の不動産にとってチャンスが広がる可能性が高いです。
外国人投資家は、今の円安がもたらしている日本の不動産市場について割安であると判断して、どんどん参入してきています。
トランプ新大統領の就任により円安が更に進行すれば、日本の不動産を下支えしている外国人は更に増えてくるでしょう。
その結果として、国内不動産の更なる価格上昇が見込まれます。
一方、国内の投資家にとって、海外不動産は選択肢として魅力が減る可能性があります。
ですが海外不動産に関しては、投資のポートフォリオ分散の一環として、円安局面においては考慮するのも面白いでしょう。
将来的な円高を見込んで、いま海外不動産を検討される方も多くいらっしゃいます。
おすすめなのが、国内の不動産を担保にして海外不動産の購入を検討することです。
国内不動産の上昇局面においては、所有している不動産の担保価値の上昇も期待できます。
また、海外不動産の特徴として、国によっては物件の購入代金を分割払いできるものがあります。
長期的に円高になると予想する人は、物件代金を分割で支払うことで為替リスクをヘッジすることもできます。
このように、円高・円安に振れることにも、一長一短があり判断が難しいところです。
しかし、自身のニーズや将来的なポートフォリオを念頭に不動産市場を考えると違った側面が見えてくるでしょう。
トランプ新大統領は、前述の通り世界中の国からの製品の輸入に10~20%の関税をかける
と表明しています。
そして、特に中国からの製品の輸入には60%の関税をかけると表明しています。
これらの影響について、結論からいうと世界経済にとっての大きなリスクになります。
上のグラフは1990年から2023年の各主要国のGDPの推移です。
2023年までの直近5年のGDPの成長率を比較してみても、中国は圧倒的な成長をしていることが分かります。
このまま行くと、2037年には中国のGDPがアメリカのGDPを逆転するとのデータもあります。
イギリスのシンクタンクの経済ビジネス・リサーチ・センター(CEBR)が、この未来を予想していることが、2023年には大きなニュースになりました。
いまや中国は世界を代表する大国で、更に世界的な影響力を増していく国であると言えるでしょう。
アメリカが中国からの製品の輸入に60%もの関税をかけることは、昨今の貿易摩擦を考慮しても類を見ないケースです。
60%もの関税によって、中国からアメリカへの輸出は減少することが見込まれます。
したがって、ここ数年落ち込んでいる中国の経済状況の更なる冷え込みが予想されるでしょう。
中国の経済が冷え込むことによって、世界経済に与える影響は計り知れません。
例えば、東南アジアのタイやフィリピンにある巨大企業は中華系の出身が多く、中国との結び付きが強くあります。
近い将来起こり得る中国本土の経済の冷え込みで、企業業績が悪化することも見込まれます。
GDPが成長している東南アジア諸国ですが、中国経済の影響を受ける場合もあるため注視が必要です。
また、東南アジアには多くの中国人が住んでいます。
中国経済の減速による経済状況の悪化によっては、他の国に移り住むことも考えられます。
事実として、フィリピンにおいては、政府の中国系オンラインカジノ業者への全面的な禁止措置がありました。
そしてオンラインカジノ業者の他国への一斉移住があり、エリアによって違いはあれど現地の賃貸需要が冷え込んだことがあります。
このように中国本土だけでなく、東南アジア諸国など多くの国に影響を与えることになります。
海外不動産を購入の検討をしている国内の投資家からすると、この点は注視が必要です。
一方で、日本の国内不動産を考える上でも中国の影響は大きいです。
前述の通り、昨今の円安もあって外国人の日本の不動産への投資は増加しています。
その中でも中国人・中華系の方は、移住や教育目的で日本に不動産を所有するケースが見られます。
実際弊社にも、中国から国内不動産を紹介してくれないかというお問い合わせが多いです。
ここ数年の中国本土の景気の不透明感と将来に対する不安から、国内不動産への需要は今後も見込まれるでしょう。
国内不動産を取り扱う一事業者の肌感覚として、中国の景気が悪化することは日本の不動産の上昇要因にもなりうると言えます。
そして、忘れてはならないのが、尖閣諸島問題を始めとする歴史問題です。
アメリカが中国に対して強硬的な措置を取ることで、米中関係のみならず日中関係の悪化の恐れがあります。
日中関係が悪化すると、中国からの日本の不動産市場への投資が減り、価格の下落も予想されるでしょう。
ここまでの解説を踏まえて、日本の不動産市場における、対中国からの影響は以下となります。
関税による中国の景気悪化→日本の不動産の上昇要因
日中関係の政治面での悪化→日本の不動産の下落要因
トランプ新大統領の指揮のもと、アメリカが設定する予定の60%の関税に対して、中国側が今後どのような対応を見せるのか注目です。
トランプ新大統領の就任によって、株式市場はどのように推移するのでしょうか。
結論からいうと、株式市場の堅調な推移により不動産市場も上昇が見込まれるでしょう。
では、なぜそのように言えるのか。
まずは、為替と同様に前回のトランプ大統領の任期中の株価の推移について見てみましょう。
上のチャートはトランプ大統領が選挙に勝利した2016年11月から、前回の大統領としての任期が終了した2021年1月までの日経平均株価の推移になります。
また以下のグラフは、同じ期間のアメリカNYダウの推移になります。
ピンク色がNYダウで青色が日経平均株価を表したものです。
このように、前回のトランプ大統領の任期中は、日経平均株価もNYダウも緩やかに上昇しているのが分かります。
日経平均株価においては約50%の上昇、NYダウにおいてはなんと約80%も上昇していますね。
一般的に、代表的な株価指数が上昇局面にあるときは、経済全体が活性化され好景気の状況です。
経済に関心の薄い人が聞いても、株価が上昇しているとニュースで耳にすると景気が良いと感じる人が多いでしょう。
ご存知の通り、トランプ新大統領は不動産ビジネスで財を成した人物としてアメリカのみならず世界中で知られています。
ビジネスの世界において株式市場の推移は、業績に影響を及ぼす重要な要素として捉えられています。
前回のリーマンショックの際には、株式市場の大幅な下落によって不景気に突入し、失業者数の増加や連鎖倒産が実際に起こりました。
このように、株式市場が堅調に推移することは、雇用のみならず企業も守ることにつながります。
結果として、株式市場の堅調な推移によって私たちの生活も良くなることが見込まれます。
私としては、トランプ大統領の就任後も大きな問題が起こらない限り、堅調に推移するのではないかと考えています。
また、株式市場が堅調に推移していると、不動産市場も安定した推移を見せることが期待できます。
以下は、日経平均株価と東京都のマンション価格の指標をグラフにしたものです。
驚くべきことに、同じようなグラフになっていて相関関係があると言えます。
つまり、株価が下落している時にはマンション価格も低調で、株価が堅調に上昇している時はマンション価格も堅調に推移しています。
このような相関関係はアメリカ市場においても同様です。
上のグラフは、アメリカの株式市場と不動産市場の相関関係について表したものです。
青色がアメリカの代表的な株価指数のS&P500・黄色がアメリカの不動産価格に連動するETF(上場投資信託)の推移です。
グラフから一目瞭然ですが、完全な相関関係にあると言えます。
不動産ビジネスの成功者であるトランプ新大統領に代わる以上、今後の不動産指標も堅調に推移することが予想されるでしょう。
株式市場と不動産市場には、様々な要因のもとで価格の上下があります。
この点について、過去の歴史から振り返ってみましょう。
アメリカの株式市場は、史上最高値を更新し続けていることや不動産価格も上昇を続けていることで、国として成長してきた経緯があります。
そして世界各国との交易があり、経済の中心として不動産市場をはじめ多くの影響を及ぼしているのも事実です。
今後もアメリカの経済の成長に合わせて、世界経済も成長していくことが見込まれるでしょう。
ここでは、世界における日本という視点から、トランプ新大統領の就任に絡めて解説します。
トランプ新大統領は、思いもよらない地政学リスクをもたらすかもしれません。
その点も合わせて見てみましょう。
まず、日本はアメリカ・中国に次いで長きに渡り3位の経済規模を誇る国です。
また、これから更なる経済発展が見込まれるアジア圏において、中国を除いて最大の経済規模を誇る国は日本です。
事実として、アジア圏の国の多くは、日本に対して友好的な感覚を持っています。
電通報より
上のデータからも分かるように、台湾・香港などの中華圏に加えて東南アジア諸国は日本に対してとても好意的な印象を持っています。
弊社へ日本の不動産の問い合わせがよくあるのは、アジア圏の国々からです。
ベトナム・フィリピン・シンガポール・韓国などの方々から日々多くの問い合わせが来ています。
データでは日本に対してあまり良い感情を持っていないとされる韓国からも、普段から本当に多くのお問い合わせがあります。
弊社では韓国からの投資家が日本の不動産を購入をするサポートするための韓国人のスタッフが複数名在籍しているほどです。
アジア圏の国の一部の人からは、日本に対する憧れがあるという話も耳にします。
そして日本は、他の諸国と比べても政治的なリスクが少なく治安も安定しており、平和な国です。
これは日本人にとっては当たり前と言えることかもしれません。
ですが、多くのアジア圏の国の人々にとっては当たり前と言うことは難しい現状があります。
日本は安全で住みやすいと認識されているため、逃避先としての不動産への投資意欲は増加するばかりです。
更にアメリカに対する、ロシア・中国・イランとの関係を考慮すると、トランプ新大統領の就任は世界の地政学的なリスクが増していく傾向にあります。
そうなる前に逃避先として、日本に不動産を所有し、いつでも逃げられるようにしておくというのは自然な流れなのかもしれません。
このように、地政学リスクやアジア諸国の自国内の不安感から、避難先として日本を選択する人が増えることも予想されます。
日本に不動産を所有している人からすると、高値での売却の可能性が広がるチャンスとも言えるでしょう。
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まとめ
今回は、トランプ新大統領就任後の日本の不動産市場への影響として以下の5つをご紹介しました。
①関税が上がることによる影響
②為替相場の乱高下による影響
③対中問題への対応による影響
④データから見る株式市場への影響
⑤避難国としての日本への影響
トランプ大統領の就任によって、日本の不動産がどのような影響を受けるのか実際に過去のデータや指標を元に見ることで不動産市場の未来が見えてきます。
それぞれの指標がどのように作用して相関関係にあるのか、本記事ではその点にも触れながらご紹介してきました。
実際のトランプ新大統領の政策は不透明なところも多く、どのような政権運営が始まるのか今後も注視が必要です。
政権運営が始まった後も、今回の5つの考察を参考にしながら、今後の不動産投資について考えるきっかけとなれば幸いです。
時代の流れによる経済状況の変化に惑わされずに、不動産投資・不動産売却で多くのリターンが得られるようにしていきましょう。
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少しでも、皆様にとって不動産市場の今後を考える上での手助けとなれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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