2021/11/08
不動産取引をブロックチェーン上で完結させるための取引プラットフォームを提供する米プロピー(Propy)社とは、どんな会社なのでしょうか?ご紹介していきます。
プロピーは、シリコンバレーを本拠とし、分散型のタイトル(所有権)登録のしくみをもつ、世界的な不動産マーケットプレイスを運営しています。世界の不動産業界のための、新たな統一の不動産ストア・資産移転のプラットフォームを作ることで、国際不動産取引が直面する問題を解決することを目指しています。プロピーは、ブロックチェーン上のスマートコントラクトを利用することで、買い手、売り手、仲介業者、エスクロー/タイトルエージェント/公証人を一か所に集め、取引を円滑化しようとしています。
プロピーの生みの親でCEOのナタリア・カラヤニヴァ氏は、2017年のICO(*)で、1,600万ドル調達しました。ナタリア氏は、不動産開発・販売、トークン販売、ICO法規制、ブロックチェーンに精通しています。
(*)Initial Coin Offering(イニシャル・コイン・オファリング))での略で、新規仮想通貨を公開・売却することで資金調達する方法
技術は、私たちの日常生活に深く浸透しているにもかかわらず、変革を渋り古くからのやり方を続けたがる業界もあります。プロピーは、不動産業界がこのような変革を渋る業界の最も良い例だと指摘しています。不動産を購入するためのプロセスは、あまり整理されておらず、時間がかかります。仲介業者の連絡遅れ、不必要な繰り返し作業に悩まされています。
プロピーは、この解決策として、不動産購入プロセスに自動化の技術を導入しています。自動化とブロックチェーンの技術を利用することで、プロピーのプラットフォームにおける物件購入の全プロセスが透明性のある、簡単なものになるのです。
プロピーは、不動産取引をシンプルな5つのステップで提供するとしています。
ステップ1:物件の選定
まずは、購入希望者がプロピーのプラットフォームから希望する物件を見つけます。不動産仲介業者に対するサービスとしてアメリカで発達した、MLS(不動産の売り情報をリスト化・共有化して取引を支援する仕組み)からデータを集計したものになっています。
他のプラットフォームと同様、プロピーで気に入った物件を見つけたら、エージェントを指定して、購入申し込みをするのみです。
ステップ2:購入・売買契約の生成
プロピーでは、自動的に売買契約を生成し、第三者を通じて所有権確認を行います。オファーには、関係者全員が電子署名します。署名が終わったら、購入契約は暗号化され、ブロックチェーンに記録されます。
ステップ3:追加書類
タイトルエージェントと呼ばれる名義書き換え代行人が、タイトルレポートをアップロードし、買い手、売り手の双方がオンラインで署名します。タイトルレポートに加えて、売主のエージェントがディスクロージャー(開示)書類をアップロードし、当事者はそれらの書類にも署名します。
タイトルエージェントは、「Settlement Statements」と呼ばれる決済明細書をアップロードします。買い手、売り手の双方が署名したら、タイトルエージェントはエスクロー口座を提示します。これにより、Eメールや通信詐欺のリスクを回避することができます。
ステップ4:支払
買い手は、支払に法定通貨か暗号通貨を選ぶことができます。支払フォームが自動的に生成され、金額が処理されると、プロピーが支払をスマートコントラクト上で「受領済み」とします。
ステップ5:権利証書
最後に、買い手はブロックチェーンのアドレスが記載された、正式に登録済みの権利証書を受け取ります。この記録は、自治体およびブロックチェーンで保管されます。権利証書がブロックチェーンに記録されていますので、買い手は、その所有権の決定的な証拠を持っていることになるのです。
すべてがブロックチェーンに記録されているので、取引プロセスにおいて不正行為の隙はありません。さらに、プロピーの自動化機能で、売り手も買い手も手数料関連の費用を節約することができます。
不動産業界は、この革命的な動きを何年も先延ばしにしてきましたが、プロピーはそのトレンドを変えようとしています。プロピーは、技術の発展に伴って、手続き面はより簡単になるべきだと主張しています。
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(出所:Propy)
(画像:Image by Gerd Altmann from Pixabay )
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