[ベトナム] 外国人の観光不動産購入には注意が必要

2020/07/07

[ベトナム] 外国人の観光不動産購入には注意が必要


ベトナム建設省は外国人が観光不動産を購入できるように提案していますが、専門家は検討にはいくつか考慮すべき点があると言います。


建設省は、低迷する市場を支えるために、住宅・不動産事業にかかる法律を改正して、外国籍の個人・団体に対しても観光不動産を購入することを認める提案をしました。建設省はまた、1つの建物内で外国人が購入できるアパートメント数の上限を、現在の30%から引き上げるべきだとの提案もしています。


住宅法のもとでは、建設省の住宅・不動産市場開発局によると、外国人は居住目的でのみアパートメントを所有することができることになっています。住宅・不動産市場開発局は、事業目的でアパートメントを購入したいという外国人からの要望が近年増えてきていると言います。事業目的とは、たとえば、観光不動産の購入です。


ベトナム不動産協会(VNREA)は、外国人に居住目的以外のアパートメントの所有を認めることで、不動産市場に大きな投資を呼び込むことができると言います。しかし、同協会は、規制などで、ベトナムで居住目的以外の不動産を購入できる外国人の条件などを管理することが必要だとも話しています。


ベトナム不動産協会のグェン・ヴァン・ディン副会長は、観光不動産市場がCovid-19の流行により大打撃を受けている状況の中、外国人が観光不動産を購入できるようにすることで、不動産市場の発展に役立つとコメントしています。


同協会はまた、これによりベトナムが、バケーション、リタイアメント、そして外国人の不動産投資先となるための長期的なソリューションとなりうるとも考えています。


不動産コンサルタント会社サヴィルズ・ベトナムのシニアダイレクター、スー・ゴック・クオン氏は、外国人に対する住宅販売を、ベトナムの不動産市場への外国投資を誘致するための、輸出の手段ととらえるべきであると話しています。クオン氏は、外国投資を呼び込むためには、外国人が住宅を所有できるような有利な条件を提示することが必要であるとも加えています。


観光不動産市場への外資の流入は、不動産市場の発展を促し、流動性を高め、観光客を呼び込むだけでなく、観光業そのものを加速させることにつながるとクオン氏は考えています。また、これにより、観光不動産商品の多様化や商品の品質向上にもつながるとも考えています。


クオン氏は、外国人保有比率が30%かそれ以下かは特段重要ではなく、国防や社会保障のためには外国人が保有できる不動産商品を規制することが重要であったと述べています。


ダナン市のフラマ・リゾートのジェネラル・ダイレクター、フイン・タン・ヴィン氏は、多くの国では、外国投資を呼び込むために、外国人に観光不動産の購入を許可しており、ベトナム観光不動産市場も、建設省の提案が通れば、外国投資家からの関心を集めることになるだろうとコメントしています。


カインホア省天然資源環境局のチャン・スアン・タイ局長は、外国人に対して観光不動産市場を開放することは必要だが、購入資格に関する規制を明らかにしないといけないと述べています。タイ局長は、外国人が居住目的以外で不動産を購入する際には、たとえば、50年、70年、90年といった、一定の時間枠を設けるなどの制限が必要だと加えています。


ダナン不動産研究・研修所のグェン・ドゥック・ラップ所長は、外国人がアパートを購入できるエリアやプロジェクトについて、政府による明確化が必要であると意見しています。


また専門家たちは、外国人に対して所有権証書を発行する際の具体的な指示も必要だと述べています。


(出所:Vietnam Investment Review

(トップ画像:Photo by Sandip Roy on Unsplash)


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