2022/04/27
フィリピン不動産セクターについて、不動産仲介・管理・コンサルを手掛ける、サントス・ナイトフランク社は、楽観的な経済見通しと渡航制限の緩和を背景に、2022年は、不動産活動にとってポジティブな1年になると予想しています。
サントス・ナイトフランクが、2022年のオフィス不動産において注目すべきトレンドとして挙げているのは次の3つです。
1.アウトソーシングセクターの成長
米国、オーストラリア、ヨーロッパといった市場からの需要により、フィリピンのアウトソーシングセクターにおける成長の意欲が高まっています。
2.テナント企業の不動産活動の再開
Covid-19感染率が減り、渡航制限が緩和されたことで、先行きに明るさを感じる企業が増え、多くの企業がすでに職場への復帰プログラムを進める中で、延ばし延ばしにしてきた不動産活動を再開するテナント企業が増えてくることが考えられます。
ここでいう不動産活動には、長期的に将来を見据えて、拡大、規模の適正化、ハイブリッド型・ハブ&スポーク型など働き方・オフィス設置を採用することが含まれます。フィリピン経済特区庁(PEZA)のインセンティブを含む政府の政策も、不動産関連の判断に影響を与えそうです。
3.ESGが着実にテナント企業の関心事に
ネットゼロの建物から再生可能エネルギー資産まで、投資家、家主、テナント企業がESG(Environmental, social and corporate governance)を不動産関連の意思決定の際の検討事項に加えるようになってきています。特に企業が課題とするのは、従業員のウェルネスを考えた時の、実際の職場の果たす役割です。
工業&物流など今年も元気なセクターに加えて、サントス・ナイトフランクは、データセンターにも注目しているようです。サントス・ナイトフランクは、この新興のデータセンター部門の供給は中期的に2倍の規模になると見ており、新しい成長の分野を求める投資家や家主にとっては、オポチュニティを与えてくれそうだと述べています。
一方で、レジデンシャル物件の需要、特にメトロマニラCBDのコンドミニアムの賃貸市場は、2022年にその勢いを回復してきそうです。国境の再開、ワクチン接種率の上昇、RTO(購入オプション付き賃貸)プログラムなどが貢献すると見られています。また、海外で働くフィリピン人労働者(OFW)の送金額の後押しも受けそうです。OFWの送金額は、パンデミックにも関わらず、2021年に5.1%増を記録しています。
パンデミック中も、資金に余裕のあるバイヤーから低密度の物件への力強い需要もあり、レジデンシャルにとって今年は前向きな1年になりそうです。
資本市場については、外国投資法、公共サービス法、小売自由化法の改正など、投資関連の政策が、海外からフィリピンへの資本の流れを促進すると期待されています。
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さらに、フィリピン6番目、初めてオフィス以外となるREITの上場は、エネルギーという従来からの収益資産でなくとも、REITというビークルを使うことで資金調達ができるということを示す結果となりました。サントス・ナイトフランクは、次にREIT各社に投げかけられる問題として、価値の持続、そして向上だと述べています。
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資産の取得やリース管理・維持のために優秀な不動産マネジャーを抱えるなどの戦略は、他の市場でREITが取ってきた手段です。このような戦略がフィリピンREITに採用される日も近い、とサントス・ナイトフランクは述べています。
(出所:サントス・ナイトフランク)
(画像:Photo by Luca Bucken on Unsplash )
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