[フィリピン] アルタランドのセブプロジェクト、ネットゼロに向けた取り組み

2022/05/31


39階建ての「セブ・エクスチェンジ」は、来年ネットゼロ認証を受ける予定です。アルタランドは、2020年、世界グリーンビル協会(World Green Building Council)のネット・ゼロ・カーボン・ビルディング・コミットメント(Net Zero Carbon Buildings Commitment)に署名したアジアで初めてのデベロッパーです。


不動産デベロッパー、アルタランド(Arthaland)は、セブにおけるプレミアムプロジェクト2件「セブ・エクスチェンジ」「ルシーマ」でネット・ゼロ排出達成しようとしています


アルタランドの上級バイスプレジデント、オリバー・チャン氏によると、アルタランドは、来年にはセブ・エクスチェンジで、ルシーマでは2025年第3四半期の完成後6か月から1年で、ネット・ゼロを達成したいと述べています。



セブ・エクスチェンジは、セブ市バランガイ・ラフッグのサリナス・ドライブ沿いに位置するグレードAオフィス&商業タワーで、総床面積は108,564平米です。フィリピンでは、WELLの事前認証を受けた最大の建物です。


一方で、
ルシーマは、セブ・ビジネス・パークのカーディナル・ロサレスアベニューとサマール・ループの角に位置するレジデンシャルコンドミニアムです。建物の基礎は完成しており、地下2階の構造物の工事が現在行われています。こちらのレジデンシャルタワーも、フィリピン南部における国際金融公社(IFC)のエッジ・ゼロ・カーボン認証を狙う初めての高層レジデンシャルプロジェクトです。



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Cebu Exchange(セブ・エクスチェンジ)

Lucima(ルシーマ)



ネット・ゼロの建物


チャン氏は、ネット・ゼロ認証は、プロジェクトごとに申請されており、申請期間もオペレーション可能だと述べています。世界グリーンビルディング協会によると、ネット・ゼロ・カーボン・ビルディングの定義とは、「相殺するカーボン残高がなく、非常にエネルギー効率がよく、オンサイト・オフサイトの再生エネルギー源によりエネルギー供給を受けている」ものです。


「気候変動により、台風がより強力になっているという明らかな証拠があります。超大型台風オデット(国際名:ライ)により、何千という世帯がホームレスとなり、フィリピン政府がパンデミックからの回復として実現し始めていた重要な経済的・社会的な進歩を後戻りさせました。台風は、このセブも含めて、フィリピン全土で7つ以上の州にわたって、家屋、公共インフラ、電力・通信サービスに広くダメージを与えました。今、これまで以上に、私たちのネット・ゼロ・コミットメントは時代にとって重要なのです。」と、アルタランドの副会長兼社長のハイメ・ゴンザレス氏は述べています。


ゴンザレス氏は、アルタランドが、2020年、世界グリーンビルディング協会のネット・ゼロ・カーボン・ビルディング・コミットメントに署名した、アジアで初のデベロッパーだと述べています。


「我々のプロジェクトの100%がネット・ゼロ・カーボン認証の登録済みで、取得ができそうだと述べています。これは、建築・建設業界の脱炭素化における当社のリーダーシップを表しています。」と述べています。


アルタランドは、2030年までにネット・ゼロ目標達成を目指しています。



市場の好みの変化


チャン氏は、他の「グリーン」認証とともに、このネット・ゼロのような認証は、気候変動への懸念から近年重要になっていると言います。市場は現在、気候リスクおよびオペレーションの持続可能性に関する懸念を念頭において、グリーンビルにより高い賃料を払ってもいいと考えているようです。チャン氏は、パンデミックと強い台風もまた、持続可能で品質の高い設計がされた構造物へのニーズを高めたと述べています。


セブ・エクスチェンジの運転エネルギーの脱炭素化により、10年間に100万本の樹木を植え育てるのに相当する炭素排出を抑えることができると期待されています。


「アルタランドは、グリーンビルディングの恩恵は、住民や入居者だけのためではなく、コミュニティのためだと思っています。サスティナビリティの代弁者として、当社は、より多くの人が持続可能な暮らしをすることで、将来の災害の影響を軽減するお手伝いをしたいと考えています。」とゴンザレス氏は強調しています。


台風オデット(国際名:ライ)のとき、セブ・エクスチェンジが受けた被害は、強風と飛ばされた物により、建設中だった高層階のガラス窓に受けた軽微なダメージのみでした。しかし、建物の構造にはなんら影響なく、これによりセブ・エクスチェンジの構造的完全性が証明されたと述べています。



稼働率

さらに、セブ・エクスチェンジの稼働率も上がってきており、低層ゾーンの6フロアのうち空いているのは2フロアのみです。今月から高層ゾーンのユニットの引き渡しも始まります。セブ・エクスチェンジは39階建てもオフィス・商業タワーで、総ユニット数は301戸です。


チャン氏は、今年、オフィス賃貸は力強い回復が予想されていると述べています。しかし、去年でも、パンデミックや台風オデットにもかかわらず、セブでは多数の取引がありました。


「ビジネス関係者は、事業継続性のために、インフラの整ったサテライトオフィスを探していました。」とチャン氏は述べています。


オフィスタワーが急激に増え、オフィス空室を埋めなければならなくなっているものの、チャン氏は、セブは、運営コスト、人材の確保、インフラ支援などの点で、マニラよりも利点があると述べています。


「このような要因から、セブは常に多国籍企業にとってかなり魅力的なのです。」



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(出所:Sunstar

(画像:Photo by Naz Diocampo on Unsplash )